監督・脚本:ロイ・アンダーソン 配給:スタイルジャム、ビターズ・エンド それから5年を待って、ようやくこの新作を拝見できることになった。今回も期待を裏切らず、あの世界観は健在だ。ただ前回とくらべるともう少しラフなスタイルかもしれない。印象的なシーンは、(これを書きながら思い出し笑いをしてしまうのだが)、堺正章が正月番組のかくし芸大会でやりそうな,大きなテーブルクロスを一瞬にして引き抜く男の話や、あこがれのミュージシャンとの結婚生活を夢みる少女の妄想世界。画面では隅の方にある小窓の風景に注目。どうやら一軒家を線路上に走らせて撮影しているようだ。大掛かりで実にばかばかしい絵作りである。 また『愛おしき隣人』には、『散歩する惑星』に出てくる同じカフェバーが登場する。(僕の記憶が正しければですが)未だ見てない人はDVDで予習して行くといいです。CM業界で大変な評価を受けている人物らしく、それゆえ映画製作は寡作なのだろうが、過去の短編やCM作品も是非見てみたいと改めて思う。うれしいことに、監督の処女長編映画『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』も同時上映されることになっている。(カネコマサアキ★★★☆)
■愛おしき隣人/You, The Living
2007年/スウェーデン=フランス=デンマーク=ドイツ=ノルウェイ=日本
出演:ジェシカ・ランバーグ、エリザベート・ヘランダーほか
上映時間:94分
公開:4月26日(土)、恵比寿ガーデンシネマにてロードショー
公式サイト:www.kittoshiawase.jp

■ストーリー
スウェーデンのとある街。「誰も私を理解してくれない」と嘆く女。夫に「クソばばあ」といわれた女教師。「クソばばあ」と妻に言ってしまったカーペット屋の店員。ミュージシャンと結婚した夢をみる女・・・。冴えない人生を送っている人々の、不条理と悲しみととぼけた笑い。一日の終わりに、バーテンダーは言う。「ラストオーダーだよ。でも、また明日があるよ!」
■レヴュー
ロイ・アンダーソン監督の前作『散歩する惑星』は、僕が旅シネ2003年度のベストテンで2位に挙げた作品。計算された構図、どこまでもアナクロニズムにこだわった画面。そして現在と過去を並列させながら、スウェーデン社会をとことん風刺したブラックな笑い。現代アートの境界線を行くような表現は、最近の北欧映画では強烈な印象を残した。資料によると、監督はルイス・ブニュエルに非常に影響を受けたそうである。なるほど、あの不条理さとシニカルな笑いは通じるものがありそうだ。
■DVD情報
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