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■ヤング@ハート/Young@Heart
 

(c) 2008 Walker George Films (Young at Heart) Limited.
 
平均年齢80歳のコーラス隊がロックの名曲を歌う
「老いることはすばらしい」笑いと感動のドキュメンタリー

2007年/イギリス

監督:スティーヴン・ウォーカー
出演:「ヤング@ハート」のメンバー

配給:ピックス
公開:11/8(土)、シネカノン有楽町2丁目、渋谷シネ・アミューズ他にて全国公開

上映時間:108分
公式HP:http://youngatheart.jp/

 
■レヴュー
 
アメリカ、マサチューセッツ州の小さな町ノーサンプトンに、平均年齢80歳のおじいちゃんとおばあちゃんたちで構成されたコーラス隊「ヤング@ハート」がある。歌うのはクラシックやスタンダードではなく、ロックやR&Bの曲ばかりだが、驚くべきことに彼らはその曲を完全に自分たちのものにしている。

映画が始まると同時に、「ヤング@ハート」のロンドン公演から、92歳になる花形スターのアイリーンによってザ・クラッシュの名曲”Should I Stay Or Should I Go”が歌われる。あのパンクの曲が、まるでシェイクスピアのセリフのように生まれ変わっているのに驚かされる。「行くべきか、行かぬべきか」。彼女は「生と死」について歌っているのだ。

彼らに興味を持ったイギリス人監督は、コンサート前の6週間のリハーサルを、カメラに収めることにする。次のコンサートのために、新曲が加えられ、新たにリハーサルが始まる。ロックを歌うからといって、メンバーがロック好きなわけではないし、むしろ普段はほとんど誰も聞いていない。しかしこうした曲を選曲しているのは、決して笑いをとるためではない。古いスタンダードナンバーを、老人たちが歌っても当たり前。ただ懐かしむだけの懐古趣味だ。ところが若者たちが作った曲を老人たちが歌うと、その曲に新しい命が吹き込まれる。オリジナルを歌っているロックシンガーが惰性で歌っているような曲でさえもだ。

見るからに身体が弱っていて死にそうな老人が、ジェームズ・ブラウンの”I Feel Good”を「気分は最高!」と歌えば、別の意味が出てくる。スプリングスティーンの”Dancing in the Dark”もそうだ。老人が歌うからこそ、「俺のハートに火をつけてくれ」という歌詞が、切なく、そして勇気を持って響いてくる。六週間の間にメンバーに死も訪れる。元気そうに見えても、寿命が尽きようとしているものもいる。その彼らがあえてそうした曲を歌うことで、私たちがふだん忘れている「生きることの喜び」に気づかせてくれるのだ。

メンバーの一人が亡くなった後、コーラス隊が刑務所の慰問コンサートで歌う、ボブ・ディランの”Forever Young(いつまでも若く)”は非常に感動的で、涙が出てきた。字幕で歌詞が付くのだが、ディランが幼い息子に向かって歌っているオリジナルとは、同じ歌詞なのに異なる状況の歌に聞こえてくる。そしてコンサートのハイライトを飾るアラン・トゥーサンの曲”Yes We Can Can”も感動的だった

途中に挟み込まれるメンバーによるミュージック・クリップも楽しめる。最近、もっともポジティヴな気分にさせてくれた映画だ。(★★★☆前原利行)

 
■映画の背景
 
・ヤング@ハートは1982年に結成された。結成当時のメンバーは現在一人も残っていない。現在のメンバーは27人。

・ユーモラスで凝ったミュージック・クリップで紹介される曲は以下の通り   ( )内はオリジナルアーティスト
Golden Years (David Bowie)
Road To Nowhere (Talking Heads)
Schizophrenia (Sonic Youth)
Staying Alive (The Bee Gees)

 
■DVD情報
 
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