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■わが家の犬は世界一
2002年/中国

監督・脚本:ルー・シュエチャン(『非常夏日』〈未〉)
製作総指揮:フォン・シャオガン(『ハッピー・フューネラル』監督)

出演:グォ・ヨウ(『活きる』『ハッピー・フューネラル』)、ディン・ジャーリー
(『しあわせの場所』)、リー・ビン(『藍字〜情熱の嵐〜』)、シア・ユイ(『太
陽の少年』『西洋鏡 映画の夜明け』)

配給:ザジフィルムズ
上映時間:100分
公開:4月30日より新宿武蔵野館にて、以降全国公開
公式HP:www.zaziefilms.com/wagayano-inu

 
■ストーリー
 
 北京に暮らす中年工場労働者ラオの家族は、妻ユイランと高校生の息子リアン、そして愛犬カーラだ。ラオは反抗的で何を考えているかわからない息子よりも、最近では自分になついている愛犬カーラを溺愛している。ある夜、ラオが夜勤に出ている間、カーラの散歩に出た妻が公安の犬取締りに合い、未登録のカーラを取り上げられてしまった。翌日の午後4時までに5000元の登録料を払わなければ、カーラは「処分」されてしまう。翌朝、帰宅したラオはそのことを知り、ショックを受ける。しかしそんな大金はない。ならば不法な手段を使うしかない。ところがすることはすべて裏目に出て出て失敗。はたしてカーラは戻ってくることができるのか。
 
■レヴュー

 中国の現代「ペット事情」を反映した物語ではあるが、これはまた中国の「今」の家族の姿を見せる物語でもある。「一人っ子政策」で子どもが1人しかいない核家族。仕事に忙しい父親は年頃の息子のことをちっともかまわず、息子は父親とうまくコミュニケーションがとれないことにいらだっている。父親は家に帰っても邪魔物扱いされ孤独で、なぐさめてくれるのは愛犬だけだ。夫婦の間柄もしっくりいっていない。そんな家族が一日弱の間に、愛犬を救うためにそれぞれが行動を起す。
 カメラは中年男ラオとともに、胡同をはじめとする北京の下町を歩き回る。ラオの老いた母親が住んでいるのは、大きなビルの谷間にそこだけ時間が止まったかのように存在している長屋だ。まもなくこうした古い家は、跡形もなく消されてしまうだろう。ペットの闇市が開かれているのは、再開発のために取り壊された空き地だ。エレベータ−付きの団地に住む人々の生活事情も垣間見える。旅行では見えてこない、人々の生活臭が匂ってくるようだ。貧乏ではないが、お金に余裕もない。そんな都市生活者の姿は、日本の60年代の姿とそう遠くはない。食卓におかずが多いのはうらやましいが。
 コメディともいいがたいし、お涙頂戴でもない。派手さはまったくないし、地味な映画だが、イラン映画に通じる素朴な味わいがある。こうした作品を見たいという人はきっと少数派なのだろうが、この「旅シネ」読者ならきっと気に入るはずだ。(★★★前原利行

 
■映画の背景
 
 中国では95年から衛生上の問題で都市部での大型犬の飼育が厳禁となり、飼えるのは体長35cm以下の小型犬のみに限定。公安ヘの登録が義務づけられたが、その登録料が5000元(約7万円)という高額で(日本でいえば100万円ぐらいの感覚か)、とても一般人には容易に払えない金額だ。しかし登録証がない犬は、見つかれば没収されてしまう。未登録の犬が増え続けたため、2003年には登録料が5分の1の1000元にまで引き下げられた。そのため登録する人が増えたという。(プレス資料より)
 

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