(C)2007デザイニングジム 監督:油谷勝海 配給:タラ・コンテンツ 公式HP:www.maihiko.com [ミチヒコ]スンバ島、ジャワ島、マドゥラ島。各地の路上で歩き、寝転がり、立ち尽くす。 [ムラヒコ]スンバ島の生者と死者が共に暮らす石墓村で、祈りをこめて踊る。 [ウミヒコ]海流の中の島々、カンゲアン諸島。海岸に流れ着き、船に浮かぶ。子どもたちがはやしたてる。 [カオス]マドゥラ島での大結婚式。女性の牛の鞭踊り。 [マイヒコ]バリの人々の前で激しいパフォーマンス。 「踊り」といっても田中泯の踊りは、私たちが見慣れた音楽のリズムに乗ったダンスではない。解説によれば、それは「芸術になる前の踊り」だが、僕には立ったり座ったり、寝たり起きたり、体をくねらしたりという奇妙なパフォーマンスに見える。踊る場所も水田、林、道、大樹の根元、海岸、人の家の庭先とおもむくまま。「舞台」なんてものはないし、最後のバリでのパフォーマンス以外は、予告なしのもの。でもインドネシアの自然という非日常の中で行われているせいか、それほど違和感はない。もしこれが日本の街中の路上だったら、おどろおどろしいものに感じていたかもしれない。そして映像に納められたインドネシアの自然は、彼の踊りの格好の舞台に見えた。 田中の踊りは映画の前半では断片的で、その踊りがどんなものか見たい人にとっては「じらし」になり、興味が持続する。そのうちに、画面に被る朴訥とした田中のナレーションが心地よくなり、観客は田中が好きになっていく。だからたとえ彼が理解しにくいパフォーマンスをしたとしても、友人のように愛情を持って見ることができるのだ。 インドネシアの人々や自然を見つめた美しい映像も魅力的だ。村人たちの生活ぶりも興味深い。かつて旅行人ノート「海洋アジア」を取材した身としては、懐かしい友人に再会したような気分にもなれた。(★★☆前原利行)
■ウミヒコヤマヒコマイヒコ

2007年/日本
ドキュメンタリー
旅人・ダンス・ナレーション:田中泯
公開:6月2日、渋谷シアターNにて
上映時間:120分
■島々をめぐる6つの旅
[ヤマヒコ]スラウェシ島トラジャ族が住むママサ郷。電気もない村に住み込み、農作業を手伝いながら踊る。
■レヴュー
前衛舞踊にまったく興味がない僕なので、このドキュメンタリーをどう見ようかと見る前に躊躇があった。しかし踊りが延々と続くわけでもなく、背景が僕にはなじみのあるインドネシアの田舎の風景だったこともあり、最後まですんなりと見ることができた。
■関連情報
・田中泯は1945年生まれ。国内外で高い評価を得ている前衛舞踏家だ。映画は、初出演にして日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞した、山田洋次監督の『たそがれ清兵衛』がデビュー作。以降、『隠し剣鬼の爪』、『メゾン・ド・ヒミコ』に出演している。
www.min-tanaka.com