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■テロリストは誰?WHAT I'VE LEARNED ABOUT U.S. FOREIGN POLICY (THE WAR AGAINST THE THIRD WORLD)

原題:僕がアメリカの外交政策について学んだこと(第三世界に対する戦争)

2004年/アメリカ/120分
プロデューサー(ビデオ編集):フランク・ドリル
日本語版プロデューサー:きくちゆみ  日本語版ディレクター:森田玄
制作:グローバルピースキャンペーン http:www.peace2001.org

全国で自主上映中!上映スケジュールやビデオ/DVD購入については公式サイト http:www.wa3w.com 参照
 
 
■具体的内容
 
(1)キング牧師によるベトナム戦争非難の演説。
(2)元CIA高官の告発:自衛や報復の手段を持たないアジア(朝鮮や中東、ベトナム、ラオス、カンボジア、インドネシア、アフガン)やアフリカ(アンゴラやコンゴ)、中南米(エルサルバドルやニカラグア)などでの殺人や麻薬密輸、秘密工作への関与について。
(3)(4)国家安全保障の名のもとに形作られ、「影の政府」の中核でもあるCIAがさらに関与したとされるのは、油田を国有化した後のイラン(1953)や、共産党を認め、農地改革に着手したグアテマラ('54)、自国資源の権利を主張したブラジル('64)やガーナ('66)、チリ('73)での軍事クーデターによる民主政権転覆工作、キューバでのカストロ大統領暗殺計画、ベトナム戦争('60〜'75)、イラン・コントラ事件('87、脚注あり)などなど。「多くの隠された世界戦争が当たり前になってしまった今、永久戦争国家と民主主義は両立するのか」とジャーナリストは問う。
(5)中南米から軍の指導者や将校を年間約2千人受け入れ、戦闘や暗殺、拷問の仕方を訓練してきたスクール・オブ・ジ・アメリカズ(現在の西半球安全保障協力研究所)というジョージア州にある施設の存在が明らかにされる。また、エルサルバドルやニカラグアでの内戦('80年代)などで多くの暗殺や虐殺を行った国軍将校や、現在アメリカの刑務所にいるパナマのノリエガ将軍を始め、当時のボリビアやホンデュラス、エクアドル、アルゼンチンなど中南米の独裁者や軍司令官、幹部など同校のOBたちによる虐殺や人権侵害を伝える。
(6)オリジナルは'98年に編集されたものだが、150万人が死んだイラクへの経済制裁への抗議や、その違法性への訴えと共に、'58年の革命で失った石油支配を取り戻そうと目論む自国政府への非難。
(7)アメリカが支援する同盟国インドネシアの軍事政権による東チモールでの大虐殺を、政府やメディアが長年黙殺してきたことに記者は怒る。
(8)アメリカの機密作戦に長年協力してきたノリエガ将軍が非協力的になると、パナマ人を挑発して起こった事件を切っ掛けに、アメリカ人の命を守るという口実で始まった米軍による「嘘まみれの」パナマ侵攻('89)。
(9)「地球に最大の暴力をもたらしているのは我々の政府だ」とキング牧師が述べたのは'67年のことなのにと元米国司法長官と嘆く。政府ベッタリのメディアはアメリカ産業界の中核をなしているのだとある作家はいう。
(10)中米への兵器輸送列車を体で阻止すると伝え、轢かれた非暴力平和運動家は「何をすべきかはあなたの心が知っている」と訴える。

【注釈】
イラン・コントラ事件…イランでの人質解放と武器を取引し、利益の一部をニカラグアの反政府ゲリラ(コントラ)支援に使った事件。
 
■レヴュー
 
  10本のドキュメンタリーを1つに凝縮したもので、内容は「第二次世界大戦以降のCIAによる秘密工作と米軍の軍事介入 学校では教えず主要メディアで取り上げられないこと」という副題のとおり。「真の愛のないところに真の失望はない」という冒頭のキング牧師の自国政府批判には、退役軍人でもある製作者の愛国心を見る。
 アメリカは魅力的なエンターテイメントを提供し続け、自由と民主主義を広めると言いながら、地球上の大量破壊兵器の半分以上を持ち、売り、使い、実質的な支配を広げてきた。
 アフガンやイラクでのアメリカの軍事行動とその理屈が特別なことではなく、建国以前からの伝統ともいえるほど一貫して繰り返されてきたことが本作で確認できる。
 アメリカの意にそぐわなかったアジアやアフリカ、中南米の国々がどんな目に遭ってきたのかを見せつけられると、弱腰な日本のアメリカ追従政策が仕方のないものにも思えてくる。ただ、このままでいいはずがない。アメリカや日本の政府、マスコミのせいにしてばかりいてはいけない。
 よく見ると本作はアメリカ批判映画ではない。それは、反戦平和を力強く求め、自国や自分の属した組織のあり方と戦い、アメリカを愛する人々の姿を伝えているからだ。★★★★(今野)
 
■関連情報
 
原作小説本作のビデオ/DVD(ハーモニクスプロダクション 送料込み各3,500円)
『テロリストは誰? ガイドブック』(合同出版 840円)
※セット販売で送料込み4,000円
※制作者は本作のビデオ/DVD購入・上映を希望する団体や個人を募集中⇒www.wa3w.com

反戦マンガ『戦争中毒』(合同出版 1365円)…本作のプロデューサーで、平和のための退役軍人会の会員でもあるフランク・ドリルがオリジナル版の発行人。は『ビーチ』でバックパッカーたちの楽園と挫折を描いたイギリス人作家、アレックス・ガーランドによるもの。『四次元立方体』(the Tesseract)アーティスト・ハウス/角川書店より2000年に刊行された。旅行好きの作者は一番好きな国としてフィリピンを挙げている。
 

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