| ■第10回フランス映画祭 横浜2002 リポート 6月23日(日) |
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とうとう映画祭の最終日がやって来た。この映画祭に参加したのは初めてだったが、来年も是非また来たいと思わせるような実にいい雰囲気があった。会場周辺をゲストが普段着でウロウロしていたりと、みなハリウッドスターとは違った気さくな感じだ。リピーターらしき観客が多いのも納得できる。
さて、最終日の本日の上映は5作品。10:00からはトリュフォーの助監督で知られるジャン=フランソワ・ステヴナン監督のロード・ムーヴィー『ミシュカ』。続いて13:00からクリストフ・ルッジア監督の自閉症で町をさすらう少年と少女を描いた『クロエの棲む夢』、15:30からは「ロマンスX」などで日本でも注目を浴びている女流監督カトリーヌ・ブレイヤ監督の『セックス・イズ・コメディ』(仮)、18:00からはナチス占領下のパリを舞台にした『バティニョールおじさん』(仮)、そして20:30からのクロージング上映は大御所クロード・ルルーシュ監督による『レディース&ジェントルメン!!』。来年もまた開催することを告げて、今年の映画祭は閉幕した。
(取材・写真/前原利行) |
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| ■ミシュカ/Mischka |
製作年/製作国:2002/フランス
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監督:ジャン=フランソワ・ステヴナン
出演:ジャン=ポール・ルション、ジャン=フランソワ・ステヴナン、ロナ・ハートナー
上映時間:116分
公開:未定 |
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| ■レヴュー |
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夏、ヴァカンスの季節、高速道路のサービスエリアからふらりとさまよい出た老人。彼は収容先の療養所で看護人ジェジェーヌにより、その容貌からミシュカ(クマちゃん)と呼ばれる。ジェジェーヌは5年間音信不通の娘に逢いに行くため、ミシュカを連れ出すが、いざとなったら会う勇気が出ない。そこへ父親に会いに家出をして来た少女ジャンヌとその幼い弟レオ、ロマの女性のジョリ=クールが加わり、一行はジャンヌの父親探しの旅に出る。疑似家族として結びついた、5人の数日間を描いたロード・ムービー。
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怒っぽい看護人ジェジェーヌ役も務めている監督のジャン=フランソワ・ステヴナンは、トリュフォーの助監督も勤める一方で、俳優としても多くの作品に出演。近作では『ジェヴォーダンの獣』にも出演している。監督第3作目(前2作は日本未公開)のこの作品には、妻クレール、娘のサロメ、末っ子のピエールと彼のファミリーが総出演している。
しかし疑似家族のロードムービーといっても、ストーリーはなかなか進まず、どんどんバラけていってしまい、途中で誰の話だったっけ?となることもしばしば。夢のシーンも唐突で、フォローなし。まあ、わかりやすいハリウッド映画に毒されているのかもしれないけど、寄り道したり、筋に関係ないエピソードがあったりと、なんだか中盤からどのシーンも行き当たりばったりのような感じ。もっとも急がないバックパッカーの旅も、似たようなものなんだけどね。ただ、それを映画として見せられているとしまうと、少々しんどいものがあるのだが…。舞台となるのはブルゴーニュとジロンドを結ぶフランスの田舎。ジロンド川を結ぶフェリーが印象的。けっこうキャンピングカーのドイツ人たちがやってきていて、会話にドイツ語が混ざってくるのが面白い。毎年キャンプで会う、顔なじみのドイツ人とか。お気軽に隣の国へ移動できるんだから、子どものころからこうして外国人と身近に接しているのも、楽しそうだなあと思ってしまった。★★(前原利行)
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監督のジャン=フランソワ・ステヴナン(右)と
妻であり出演者のクレール
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| ■クロエの棲む夢/Les diables |
製作年/製作国:2002/フランス
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監督:クリストフ・ルッジア
出演:ヴァンサン・ロティエ、アデル・ハネル
上映時間:105分
公開:未定 |
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| ■クリストフ・ルッジア監督のコメント |
この作品では、子どもたちの孤独や悩みを描きたかった。クロエは自閉症で他者とのコミュニケーションを拒否している。こうしたコミュニケーションの不在は、現代社会において大きな問題だ。とくに子どもと大人の間のコミュニケーション不足は、それが子どもたちに様々な結果をもたらしている。
こうしたコミュニケーションの不在についての映画が作られるのは、今や世界的な傾向だろう。アジアでもツァイ・ミンリャンやホウ・シャオシェンらの監督が、このようなテーマを取り上げているのだから。 |
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| ■レヴュー |
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施設から脱走し、森をさまよう少年ジョゼフと少女クロエ。2人は幼いころにマルセイユの町に捨てられ、施設を転々と過ごして来た。クロエは自閉症で人と口をきかないし、人に触られることを極端に嫌う。彼女がガラスの破片で作るのは、いつも家のモザイク。ジョゼフはそれを見て、クロエは両親の家を探しているのだと思い、またその家を見つけて両親と一緒に暮らせば、クロエの病気が治ると信じている。2人は捕まり、施設に収容されるが、そこへジョゼフの母と名のる女性が訪ねて来た…。
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痛々しい映画だ。映画の大半は少年ジョゼフと少女クロエを中心に展開するが、この2人の圧倒的な存在感がこの映画の成功を導き、またやりきれない悲劇を観客の心に刻む。映画初出演、演技未経験のこの2人だからこそ、手あかのついていない生身の演技ができたのだろう(その点イラン映画が素人を使うことが多いのに似ているかもしれない)。クロエを愛し、クロエの愛を求めている少年ジョゼフを演じたヴァンサン・ロティエは、「愛に対する飢え」を見事に表現している。母親が施設を訪ねて来たときのうれしさから一転して、失望、そして怒りに感情が転じるあたりは演出の妙もあるのだろうが、見ていて痛々しい。また時として凶暴さを秘めた表情になるあたりは凄みさえ感じる。
そして成長期ということもあったのだろう。映画の前半と後半ではポッチャリからスラリとした女性へと少女クロエの体型が変わり、それと共に性に目覚めていくという設定が生きている。2人の少年少女時代の終わりと共に、この映画も幕を閉じる。 |
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左からジョゼフ役のヴァンサン・ロティエ
監督のクリストフ・ルッジア
クロエ役のアデル・ハネル
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今回の映画祭で観た8作品のうち、もっとも僕が気に行った作品。そして映画祭の舞台に登場したジョゼフとクロエ役のヴァンサン・ロティエとアデル・ハネルは、フランス映画の希望を現わしているかのような初々しさを感じた。
★★★☆(前原利行)
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