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■新宿インシデント/新宿事件


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新宿を舞台に中国からの不法移民が黒社会でのしあがる
いつものジャッキー映画とは100%異なる異色作だが…

監督:イー・トンシン(『忘れえぬ想い』『ワンナイト・イン・モンコック』)
出演:ジャッキー・チェン(『The Myth/神話』『ラッシュアワー3』)、竹中直人(『東京日和』『Shall We ダンス?』)、ダニエル・ウー(『ワンナイト・イン・モンコック』『女帝<エンペラー>』)、シュー・ジンレイ(『スパイシー・ラブ・スープ』『最後の恋、初めての恋』)、加藤雅也(『落陽』)、ファン・ビンビン、峰岸徹

配給:ショウゲート
公開:5月1日より新宿トーアほか
上映時間:119分
公式HP:www.s-incident.com

 
■ストーリー
 
日本海沿岸に中国からの密航者たちが漂着した。その中の一人、鉄頭は知り合いを頼って新宿へ向かう。中国東北部出身の鉄頭は、10年前に日本で消息を絶った幼馴染の恋人シュシュを探し出すために来たのだった。鉄頭は同郷の阿傑と共に不法労働を始めるが、最底辺の仕事ばかり。刑事・北野やバーでのマダムのリリーとの出会いを経て、鉄頭はついにシュシュを見つける。しかし彼女は新宿を取り仕切るヤクザの幹部・江口の妻になっていた。ある事件から江口の命を救った鉄頭は、彼のもとで働き始め、やがて中国人組織のトップになっていくが…。
 
■レヴュー
 
ジャッキー映画は好きだが、「安心して見られるアクション映画」という点では、インディ・ジョーンズと同じ。主人公には「影」の部分はなく、実に明快。良くも悪くもジャッキー映画なのだ。しかしこの『新宿インシデント』は違う。カンフーアクションなし、娼婦とのベッドシーンあり、おふざけなし、目的のために人殺しもする、内蔵飛び出しバイオレンスあり、そしてラストでジャッキーはむなしく死んでいく…。ジャッキー映画のファンならファンほど、驚きの連続だろう。ジャッキーが一俳優に立ち戻り、香港ノワールに出演しているのだから。俳優としては当たり前だが、ジャッキーとしては、人気が出てからはおそらく初めての試みだろう(異色作『炎の大走査線』を除く)。

監督のイー・トンシンは、大陸から香港へ恋人を探しにやってきた殺し屋の青年(ダニエル・ウー)を主人公にした『ワンナイト・イン・モンコック』という佳作を以前作っている。作りは荒削りだが、そのあまりにもむなしいラストは痛烈な印象を残した。今回の『新宿インシデント』もそのテイストに近い。恋人を探しに大陸からやってきた男が、次第に悪事に手を染め、黒社会でのし上がっていく。成功は仲間の絆を蝕んでいき、ついには内と外の両方から崩壊していく。北野武監督の『BROTHER』にも雰囲気は似ている。

ただ最後まで「主演はジャッキーでないほうがよかったのではないか」という思いが残った。どうしても彼は「本当はいい人」という先入観が抜けないのと、また演技力の問題でジャッキーが「陰のある男」にも見えないのが響いた。「深みのある性格」ではなく、「何を考えているかわからない」というように見えてしまったのだ。それに比べ、気弱な青年から一転してチンピラのリーダー格になるダニエル・ウーや刑事役の竹中直人は、自分の持ち味を生かしてうまく好演。映画はいい部分もあるのだが、これまで築いてきた遺産があまりにも大きいため、ジャッキーのイメチェンは難しかったのがマイナス。しかし、これに懲りずにまたこうした試みはして欲しいと思う。(★★★前原利行)

 
■DVD情報
 
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