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■シャンハイ/Shanghai

戦前の上海を舞台にスパイが暗躍する
豪華国際キャストはいいが演出は平板

2010年/アメリカ

監督:ミカエル・ハフストローム(『1408号室』『ザ・ライト エクソシストの真実』)
出演:ジョン・キューザック(『ハイ・フィディリティ』)、コン・リー(『きれいなおかあさん』『活きる』)、チョウ・ユンファ(『グリーン・ディスティニー』)、渡辺謙(『インセプション』)、菊池凛子(『ノルウェイの森』)、デヴッド・モース(『ダンサー・イン・ザ・ダーク』)、フランカ・ポテンテ(『ラン・ローラ・ラン』)

配給:ギャガ
公開:8月20日より全国ロードショー
上映時間:105分
公式HP:www.shanghai-gaga.ne.jp

 
■ストーリー
 
1941年の上海にやってきた米国諜報員のソームズは、落ち合うはずだった友人で同僚のコナーの変わり果てた姿を目にする。コナーは日本租界で殺されたこと、上海の闇組織のボスのランティンを探っていたことを知るソームズ。日本人と取引しているランティンは日本軍情報部のトップのタナカと取引していた。ランティンの妻、アンナをソームズはカジノで見かけたことがあった。謎が多いアンナにひかれていくソームズ。やがてソームズは、アンナが日本軍に殺された父の意志を継ぎ、抗日ゲリラの手助けをしていることを知る。しかし日本軍の上陸が迫っていた。
 
■レヴュー
 
米中日の豪華スター共演による、戦前の上海を舞台にしたミステリー。主人公が諜報員で、親友殺害の謎を探っていくうち、日本軍上陸前夜の上海で繰り広げられている諜報合戦に巻き込まれていくというのが大筋で、それに主人公と中国人闇組織の大ボスの妻との恋愛が絡んでいく。『第三の男』『愛の落日』『ラスト、コーション』など、同じようなテイストの作品がいくつも浮かぶ。こうした作品だと、たいてい脇役的な日本人や中国人のキャラがあまり立たないのだが、ここではチョウ・ユンファとコン・リー、渡辺謙と菊池凛子、とスターを配しているので、見ていてそのシーンをおろそかにすることもない。主人公が利用するドイツ人外交員の妻役にも、『ラン・ローラ・ラン』で町を走っていたフランカ・ポテンテを配するぐらい、キャストは贅沢だ。

しかし演出はどうかというと、あまりにもオーソドックスで、引っかかるところがなかったのが残念だ。意外性がほとんどないのだが、たとえば死んだ同僚が探っていたのが「日本軍の真珠湾攻撃準備」だったとわかっても、「おー」という感じはしないし、闇組織のボスが裏で抗日ゲリラだったのも流れでわかってしまい意外性がない。きっとそのあたりをうまく演出するのがワザなのだろうが、そうしたキレは目指していないようで、アメリカ映画ながら日本の大河ドラマのような感じがするのも、そのあたりが原因か。現代社会に対する批判もないし。最初のうちはスターの共演に楽しめるが、後半、ありがちな展開にちょっとダレてくる、それが残念。菊池凛子もほとんど出番ないしね。まあ、その分、受身で観ていてちょうどいいくらいかも。(★★☆前原利行)

 
■関連情報
 
この時代の上海を描いたスパイの映画なら『ラスト、コーション』(アン・リー監督)がおすすめ。スピルバーグ監督作としては出来がいいほうではないが、『太陽の帝国』も日本軍上陸前後の上海を描いている。ともに原作あり。『太陽の帝国』の原作はSF界の巨匠J・G・バラード。

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