Home > 旅シネ > シークレット・サンシャイン

■シークレット・サンシャイン /密陽


(c)2007 CINEMA SERVICE CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED

2007年/韓国

監督・脚本:イ・チャンドン(『オアシス』『ペパーミント・キャンディー』)
出演:チョン・ドヨン、 ソン・ガンホ

配給:エス・ビー・オー
上映時間:142分
公開:6月7日(土)、シネマート六本木ほか、全国順次公開!

 
■ストーリー
 
シングルマザーのシネは,ひとり息子といっしょに亡き夫の故郷である地方都市・密陽(ミリャン)に移り住んで来た。あまり流行っていない自動車修理会社を営んでいる地元の男ジョンチャンは、何かと彼女の面倒をみてあげているうちに好意を抱くようになる。そんなある日、最愛の息子を誘拐事件に巻き込まれる。シネの人生は大きく狂いはじめる。
 
■レヴュー
 
舞台となっている密陽というのは韓国の平均的な地方都市だそうだ。在住者達は、噂話が好きだったり、おせっかいだったりするが、おおむね親切で牧歌的な感じがする。人間関係が濃密な韓国社会では近所付き合いもたいへんそうだ。村社会的な共同体には息苦しさもあるが、都会の孤独感はないかもしれない。シネは死んだ夫の育った環境で息子を育てようとこの地を訪れる。

 そんな彼女に大変な試練が訪れる。犯人は誰なのか。住民の誰もが犯人の可能性を秘め、まるで『追憶の殺人』(2003年/ポン・ジュノ監督)のような展開になっていくが、犯人は意外とあっさり検挙される。絶望の縁にいるシネはキリスト教の団体に入り、「罪人を許せ」との教えに添って、犯人と面会する。だが犯人から意外な「言葉」を聞き、精神を崩して行く。

冬の陽光を絵に描くためにはどうするか。黄色や白の絵の具を重ねればいいというものでもなく、例えばレンブラントやフェルメールの絵のように,黒い背景や人物の影を強調することで、光の存在を表現する。たぶん、この映画の主人公シネ(チョン・ドヨン)の存在はその黒い絵の具の部分を負っている。彼女の絶望が黒いほど、小さな車整備会社を経営する男(ソン・ガンホ)の地味な存在が浮かび上がってくる仕組みだ。「人を許せるか」と言う問い、韓国の宗教団体の実体など、興味深いところは多いが、一番のテーマは、我々はどういう「隣人」であるべきか、という問いかけだと思う。密陽というトポスを描きながら、「世界とは何であるか」という古からの哲学者の永遠の思索がこの映画にはある。

カンヌはチョン・ドヨンに主演女優賞をあげたが、僕としては抑えた演技が光るソン・ガンホにあげたいと思う。(カネコマサアキ★★★★)

 
■関連情報
 
2007年カンヌ国際映画祭主演女優賞(チョン・ドヨン)

2008年アジア・フィルムアワード3冠達成(作品賞・監督賞・主演女優賞)

 
■DVD情報
 
シークレット・サンシャイン [DVD]
エスピーオー (2009-01-01)
売り上げランキング: 2134

Home > 旅シネ > シークレット・サンシャイン