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■潜水服は蝶の夢を見る/Le Scaphandre et le Papillon


深みのある人間描写とすばらしい映像が見事な調和をもたらす
体の自由を失った男が20万回の瞬きで自伝を書き上げた実話の映画化

2007年/フランス、アメリカ

監督:ジュリアン・シュナーベル(『バスキア』『夜になるまえに』)
出演:マチュー・アマルリック(『そして僕は恋をする』『ミュンヘン』)、エマニュエル・セニエ(『フランティック』『ナインスゲート』)、マリ=ジョゼ・クローズ(『みなさん、さようなら』『ミュンヘン』)、マックス・フォン・シドー(『エクソシスト』『第七の封印』)、ジャン・ピエール=カッセル(『三銃士』)

配給:アスミック・エース
公開:2月9日よりシネマライズにて
上映時間:112分
公式HP:chou-no-yume.com

 
■ストーリー
 
病院のベッドで目を開けたジャン=ドミニク・ボビー、通称ジャン=ドーは自分が何週間も昏睡状態だったことを知る。そして身体がまったく動かず、動かせるのは左目だけだということも。雑誌「ELLE」の編集者で、三人の子どもの父親だったジャン=ドーは、ある日いきなり「ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)」という病気にかかり、全身が麻痺して動かなくなっていたのだ。絶望的な気分になるジャン=ドーだが、言語療法士の導きにより、目のまばたきによって意思を伝えることを学ぶ。やがて彼はそのまばたきで自伝を書き始める。
 
■レヴュー
 
1997年に出版され、各国でベストセラーになった実話が原作で、原題は「潜水服と蝶」。潜水服とは身体的に不自由な状況を、蝶はそんな状況の中でも自由な彼の思考や想像力を現しており、そのイメージはたびたび映画の中でも示される。

動くのは左目だけという絶望的な状況の中でも、生きる希望を見出す主人公とそれを支える人々。ジュリアン・シュナーベル監督は、派手な演出を排し、大人の冷静さを持ってそれを静かに描く。一人称目線で語られる前半に対し、後半は広がる想像力に呼応するようにカメラが自由に動くが、主人公の心情を視覚化したその映像はすばらしい。

フランス映画(セリフも主要な登場人物もフランス人)かと思って観ていたら、主要スタッフはアメリカ人。つまり本作の映画化はアメリカで企画されたが、アメリカの物語に置き換えず、フランス人がフランス語で演じる映画として製作されたもの。そんな訳で見た目はフランス映画だが、演出はふつうのフランス映画ともアメリカ映画ともかなり違う作品になり、とても新鮮だ。同じ難病ものでも、お涙頂戴の邦画の諸作に比べ、主人公も周囲の人々も、そして語り口もずっと大人。最近観た映画の中では、もっともおすすめできる作品。(★★★★☆前原利行)

 
■関連情報
 
・本作の撮影監督はスピルバーグ作品でおなじみの名匠ヤヌス・カミンスキー(ポーランド出身)。おそらく現役世界最高峰の撮影監督だろう。おもな代表作に『シンドラーのリスト』『ザ・エージェント』『プライベート・ライアン』『AI』『ミュンヘン』など。

・監督のジュリアン・シュナーベルはニューヨークのブルックリン生まれで、70〜80年代にニューペインティング運動にかかわり、画家として成功。映画の初監督作品は、当時の友人だったバスキアを描いたものだった。

 
■DVD情報
 
潜水服は蝶の夢を見る 特別版【初回限定生産】 [DVD]
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