Home > 旅シネ > サロメ

■サロメ/Salome

2000年/スペイン
監督:カルロス・サウラ(『カルメン』『タンゴ』)
出演:アイーダ・ゴメス

配給:
日本ヘラルド映画
公式サイト→
http://www.herald-arthouse.com/
上映時間:86分
公開:11月8日、
Bunkamuraル・シネマにて
 
■レヴュー
 
 絵画、小説やオペラでも有名な「サロメ」を、『カルメン』や『血の婚礼』などでフラメンコ・ミュージカルに定評のあるスペインの巨匠カルロス・サウラが映画化。主演のサロメを演じるアイーダ・ゴメスは世界的な舞踏家で、本作の振り付けも彼女が担当している。
 有名な「サロメ」の話だが、ここでおさらいを。聖書によればイエスに洗礼を施した洗礼者ヨハネは、ユダヤの王ヘロデに捕われる。ヘロデ王が自分の兄弟の妻であるヘロデヤと結婚したことを非難したからだ。しかしヨハネの力を恐れる王は、彼を処刑できない。そこでヘロデヤは娘サロメにあることを吹き込む。サロメの踊りをたいそう気に入っているヘロデ王は、ある日、客人たちの前でサロメに「お前の望むものを何でも与えよう」と言ってしまう。サロメが王に言ったものは「ヨハネの首」だった…。
 この逸話を、愛しても振り向いてもらえぬ相手(=ヨハネ)に対する屈折した愛情のために、サロメが彼の死を望んだという解釈で舞台にしたのが、19世紀の小説家・劇作家のオスカー・ワイルドだ。このワイルド版がオペラ化の下敷きになっており、このサウラ版フラメンコ・バレエとも呼べる「サロメ」も基本ラインは同じだ。
 この作品では、前半を舞台準備、後半を舞台の映像化と2つにハッキリ分けている。ニュアンスを変えるため、前半をビデオ、後半をフィルムにして画面の質感も変えているほど。舞台準備といっても、それは単なるドキュメントではない。観客をサロメの舞台に誘うための準備のために計算されたもので、監督を役者が演じていることでも明らかだ。後半の舞台はまさにフラメンコとバレエが合体したもので、その音楽と共に非常に迫力があるものになっている。舞台といっても、ただ映し撮っているわけではなく、舞台と同じことをやってもらうが、視点やアングルはひとつの「絵」として映画的に作り上げられているのだ。
 「サロメ」は報われない愛とセックスの物語であり、本作品でもその性的な部分は演出に組み込まれているが(次々と衣を脱いでいく官能的な踊り、盆の上に載せられたヨハネ首=去勢されたペニス)、洗練され過ぎていて個人的にはもっと「猥雑さ」が欲しかった。まあ上映館の「Bunkamuraル・シネマ」にはピッタリだし、買い物がてら友だちとお茶でもして映画を見るぐらいの感じならいいのだろうが。ただし僕ならもっと「ワイルドな」サロメが見たい。
★★☆(前原利行)
 
■関連情報
 
・オスカー・ワイルド原作の「サロメ」の映画化に『ケン・ラッセルのサロメ』(87)がある。原作を大幅に脚色。友人の男娼の館に招待されたワイルドの目の前で、「サロメ」の舞台が繰り広げられるというもの。ビデオ屋にあるかな?
・サロメを演じたアイーダ・ゴメスが主演、芸術監督を勤める舞台版「サロメ」が日本へやってくる。
Bunkamuraオーチャードホールで、2004年2月27日〜3月10日まで公演。詳細は
www.salome.jpで。
 
■DVD情報
 
サロメ [DVD]
サロメ [DVD]
posted with amazlet at 09.03.31
ポニーキャニオン (2004-05-19)
売り上げランキング: 33127

Home > 旅シネ > サロメ