監督:カルロス・キュアロン(『天国の口、終の楽園』脚本) 配給:東北新社 主演は『天国の口〜』で国際的なスターになったガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナのゴールデン・コンビ。前作のキラキラした高校生役から8年経っているせいか、役柄のせいなのか、ディエゴ・ルナなんかは別人にみえるほどオッサン化している。役柄は変わっても、相変わらず、けたたましく言い合っている。前作は裕福な家の高校生が、「楽園」を求めて地方を旅する話だったが、今回は田舎の貧しい家庭の兄弟が、成功を求め都市をめざす話だ。少し批判的な見方をするならば、前作が先の展開が読めず、とてもリアルな感情が伝わってきた反面、今作は、型通りな感じがする。メキシコシティ出身の監督の出自からすると、前作に親近性があるのは当然だと思うけれど。また、兄弟対決といってもカインとアベルほどの確執を感じないのは、兄弟監督ゆえの生々しさを避けた結果なのか、それともラテン家族のおおらかさからだろうか。 メキシコ・サッカー界の裏事情も満載で、スカウトマンの視点から物語が語られるのは面白い。サッカーリーグが舞台なのに、二人の主演が全くボールに触れるショットがない(敢えて見せない)のが小気味いいギャグになっていた。映画の原案は、アルフォンソ25歳、カルロス20歳の時にグランドキャニオンまで旅した時に生まれたという。今40代である彼らが、一体、どんな風に育ち、映画製作しているのか、臨場感あるドキュメンタリーで見てみたい気もする。(カネコマサアキ★★★)
■ルド and クルシ/Rudo y Cursi

(c)2008 CHA CHA CHA, INC. All rights reserved.
2008年/メキシコ
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル(『バベル』『ブラインドネス』)、ディエゴ・ルナ(『ミルク』『ターミナル』、ギルモア・フランチェラ
上映時間:101分
公開:2月20日(土)より、シネマライズ、新宿バルト9ほかにて全国順次ロードショー
公式サイト:www.rudo-movie.com
■ストーリー
メキシコの片田舎のバナナ園で働く貧しい家庭の兄弟は、草サッカーに夢中。ある日、通りかかったスカウトマンによって弟のタトはメキシコシティのプロチームに入団する。後に妻子ある身の兄のペトもゴールキーパーとして別チームに召還されて、二人の兄弟はライバルに。貧乏から急にセレブ生活になった二人は、女とギャンブルに溺れ、下降線を辿っていく。そして迎える大一番。人生を賭けたPK戦。兄弟対決の命運は・・・。
■レヴュー
最近、芥川賞候補になった「大森兄弟」という実兄弟の作家チームが話題になっていたが、いったいどういう分担で書くのだろう?兄弟で小説を書くなんて、やりにくそうだし、個人的にはちょっと不気味な感じさえする。しかし、映画界を見渡せば、兄弟で映画を作っている例は珍しくない。タルデンヌ兄弟、ウォシャウスキー兄弟、コーエン兄弟なんかがざっと思いつく。『天国の口、終りの楽園』(★★★★)の監督アルフォンソ・キュアロンと、その脚本家カルロス・キュアロンもその例に入るかもしれない。今回の『ルドandクルシ』では弟のカルロスが脚本・監督を担当し、兄アルフォンソはプロデュースに回っている。そして、映画の内容もそのものズバリ、兄弟の話である。
■関連情報
世界で熱い注目を受け続けているアルフォンソ・キュアロン、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、ギレルモ・デル・トロ監督が、メキシコ映画界の活性化と新人たちをサポートするために制作会社<チャ・チャ・チャ>を立ち上げた。本作は、その第一弾となる。