Home > 旅シネ > 黄色い星の子供たち

■黄色い星の子供たち/LA RAFLE.


1942年夏、パリで行われたユダヤ人一斉検挙。
家族と引き裂かれ、過酷な運命をたどった子供たちの真実の物語。

2010年/フランス、ドイツ、ハンガリー

監督・脚本:ローズ・ボッシュ
出演:メラニー・ロラン、ジャン・レノ、シルヴィー・デスチュー、ガド・エルマレ

配給:アルバトロス・フィルム
上映時間:125分
公開: 7月23日、 TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
公式HP:http://www.kiiroihoshi-movie.com

 
■ストーリー
 
 ナチス占領下のパリ、ユダヤ人は胸に黄色い星をつけることを義務づけられていた。11歳のジョーは星をつけて学校へいくのが嫌で、規制された生活にも腹を立てていた。それでも家族はささやかな幸せが続くことを願っていた。

 しかし、1942年7月16日未明、フランス警察の荒々しいノックの音がユダヤ人街に響き渡る。一斉検挙された1万3000人ものユダヤ人は、ヴェル・ディヴ(冬季競技場)に押し込められ、劣悪な環境下に置かれる。そこには、自らも検挙された医師のシェインバウム(ジャン・レノ)、赤十字から派遣された看護師のアネット(メラニー・ロラン)がいて献身的な治療にあたっていた。そして5日後、ユダヤ人たちに別な場所への移動が告げられた・・・。

 
■レヴュー
 
 ナチス・ドイツの占領下に置かれていたパリで、1942年、フランス政府と警察によるユダヤ人の一斉検挙が行われた。その数1万3000人。人々は家族と引き裂かれ、過酷な運命を辿ることになる。50年間、フランス政府が公式認めてこなかったその「史実」をジャーナリスト出身のローズ・ボッシュ監督が綿密な資料収集と調査、目撃者、生存者の証言を得て、不抜な歴史ドラマとして描きだしている。

 この物語の登場人物はすべて実在し、ボッシュ監督は、親から引き離された上に、未来を摘み取られた子供たち、もう一度命を与えたいという意図の基で物語を作り上げている。物語はいくつかの視点によって描かれているが、その中心となるのが11歳の少年ジョーである。パリでささやかながら幸せに暮らしていたヴァイスマン一家の長男だ。彼は親と引き離され、収容所に取り残された後も、希望を捨てず、生きようする強い意志を持ち続ける。そして、一斉検挙後に収容されたヴェル・ディブで登場するユダヤ人医師シェインバウムは、自らも過酷な運命を背負いながら穏やかに患者を見守る人物。そしてもう一人、フランス人看護師・アネットの視線も加わっていく。彼女は、献身的に子供たちに寄り添い、時には熱く不条理立ち向かう。

 この3人の視点が、3人のすばらしい演技者によって見事に物語を紡いでいく。ショーが、過酷な状況の中でも生きようとする姿に心を揺さぶれ、今までにはないジャン・レノの静かな演技には深い感動を覚える。そして、看護師アネットを演じたメラニー・ロラン。『オーケストラ!』のヒロインも印象深かったが、彼女の渾身の演技には、演技を超えた気迫が感じられる。

 一斉検挙のシーンでは手持ちカメラを使って緊張感を持たせ、収容所のシーンからは子供の目の高さ(ジョーの視線)に合わせるという映像へのこだわり。そして、この事件に関わる人々の姿も描かれている。ヴェル・ディブで水を供給し、ユダヤ人たちの手紙を預かった消防士たち、「もうたくさんだ」と吐き捨てる警備の警官、難を逃れた子供たちをかくまった老夫婦。事件の当事者だけではなく、市井のフランス人たちの姿を丁寧にとらえ、悲劇的な物語として終わらせていないところも必見である。ホロコースの悲劇を描いた作品は数多くあるが、また一つ歴史を知る大切な作品が生まれたと思う。(★★★★ 加賀美まき)

 
■DVD情報
 
黄色い星の子供たち [DVD]
アルバトロス (2011-12-02)
売り上げランキング: 42667

Home > 旅シネ > 黄色い星の子供たち