監督:ユー・リクウァイ(『天上の恋歌』) 配給:ビターズ・エンド しかし、残念だが、現在最も脂の乗った二人の役者のキャスティングと魅力的なプロットも、未消化に終わっていると思う。この作品の要である、キリンとユダの関係性が、二人の間に謎があるにせよ、今ひとつ曖昧だ。ユダがキリンを育てたというリアリティが全く感じられず、画面の中に二人が立ち並んでいる姿さえ不自然に思えてしまった。二人の軸が曖昧なので、全体が上滑りしているように見えてしまうのだ。 それでも、なお、この映画には惹き付けられるものがあるのは確かだ。特に”Murcof”ことフェルナンド・コロナの音楽は素晴しい。また、ユー監督が鈴木清順を賞賛していることから、『東京流れ者』あたりにこの作品のルーツを探してみるのも一興かもしれない。完成度は今ひとつだが、想像力をかきたて、刺激を与えてくれる作品であることには違いない。監督の映画的冒険心に一票入れたい。(カネコマサアキ ★★☆) 舞台になっているのはサンパウロ市のリベルダーデ地区は、世界最大の東洋人街、日本人街がある地区として有名。
■PLASTIC CITY(プラスティック・シティ)

2008年/中国=香港=ブラジル=日本
脚本:ユー・リクウァイ、フェルナンド・ボナシ
出演:オダギリ・ジョー、アンソニー・ウォン(『インファナル・アフェア』)、チェン・チャオロン(『愛情萬才』、『楽日』)、ホァン・イー(『呉清源 極みの棋譜』)、タイナ・ミュレール
上映時間:95分
公開:3月14日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿バルト9ほか、全国順次ロードショー
公式HP:http://www.plasticcity.jp/
■ストーリー
サンパウロにあるリベルダーデ地区は、世界最大のアジア系移民の街。ブラジルで育った日系ブラジル人のキリン(オダギリ・ジョー)はユダ(アンソニー・ウォン)にジャングルで拾われ、息子のように育てられた。成長したキリンは、ユダが仕切るショッピングモールで、闇家業を手伝っていた。しかし、ユダの失脚を狙う新勢力の台頭により、抗争が勃発する。
■レヴュー
それは倭人が東南アジア、ポリネシア方面から渡って来た「海人」だった可能性を示唆するものだという。映画では、オダギリ扮するキリンは全身にトライバル系の文身を入れ、アンソニー・ウォン扮するユダも胸に文身を入れている。ブラジルはサンパウロで繰り広げられるアジア系移民の庇護と反目の物語は、そんな汎アジアの先史の記憶を思い起こさせてくれる。
■関連事項
ユー・リクァイはジャ・ジャンクー監督作品のほとんどの作品に携わる撮影監督として有名。今回はジャ・ジャンクーがプロデューサーを務めている。
■映画の背景
映画のモデルになったのは「ブラジル最大の密輸王」といわれるラオ・キン・ショウという中国系ブラジル人。自身の所有するショッピングモールで密輸品を売り捌いていた。2004年に逮捕され、服役中である。
http://sao-paulo.cocolog-nifty.com/top/2007/12/post_046c.html
『ブラジルの日本人街』についての詳細はこちらを参照
http://www.discovernikkei.org/forum/en/taxonomy/term/91?page=1
■DVD情報
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