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■ピリペンコさんの手づくり潜水艦/Mr Pilipenko and His Submarine

(C)Andrew Testa

ピリペンコさんの夢は「自作の潜水艦で海に潜る」こと。
ちょっととぼけた究極のライフワーク・ドキュメンタリー!

2006年/ドイツ

監督:ヤン・ヒンリック・ドレーフス、レネー・ハルダー
出演:ウラジーミル・アンドレイェヴィチ・ピリペンコ、アーニャ・ミハイロヴナ・ピリペンコ、セルゲイ・セミョーノヴィチ・ホンチャロフ、イルカ号

配給:パンドラ
宣伝:エスパース・サロウ
上映時間:90分
公開:10月下旬、渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー

 
■ストーリー
 
ウラジーミル・ピリペンコさんはウクライナの小さな村に住む、62才の年金生活者。手づくりの潜水艦で黒海に潜ることを30年間夢見ている。貯めた年金を切り崩し、古い部品や金属を集めて潜水艦作りに精を出す彼に、妻も村人たちも振り回されっぱなし。近くの池で試運転に成功するや、潜水艦をおんぼろトラックに乗せ、400km先の黒海へと向かう。果たして、ピリペンコさんは無事に潜ることができるのか・・。
 
■レヴュー
 
なんともほのぼのとした話である。「草原にある潜水艦のよう」とは、ウクライナで「不可能」を意味する比喩なのだそうだ。文字通り、ウクライナ平原の真ん中で、ピリペンコさんは自分で潜水艦を作り、それで黒海に潜ろうというのだから呆れてしまう。それでも、あざやかな緑色のかわいい潜水艦「イルカ号」と、ピリペンコさんの大マジメな姿を見ていると、ついつい応援したくなってしまうのである。

ウクライナの小さな村には、空気がゆったりと流れているようだ。決して裕福ではないが、素朴な村の情景にほっとさせられる。村人が総出で試運転を見守る様子や、あちこちから水漏れし始める潜水艦を、メモを片手に真剣に操縦?しているピリペンコさんの姿がユーモラス。そして、いよいよピリペンコさんと相棒のセルゲイ氏は、改良されたイルカ号と共に黒海へ。ウォッカを旅の友に野宿しながらの珍道中だ。

全編を通じて、のんびりとした映像が続くが、そこには作り手の確かな視点を感じられる。ウクライナ平原に延々と続く小麦とトウモロコシの畑。ヨーロッパ屈指の肥沃な大穀倉地帯を持ちながら、ウクライナの社会情勢は今も厳しい。日常はともすれば過酷なのだが、それでも、どうすれば人生で大切なもの、自分の夢を手放さずにいられるのか、ピリペンコさんを通じて私たちはその答えを見つけられるはずである。

さて、黒海で無事に潜水できるのか。それは見てのお楽しみだが、ピリペンコさんの野望はまだまだ続くようである。がんばれ!ピリペンコさん。

山形国際ドキュメンタリー映画祭(2007年)市民賞受賞作品(★★★加賀美まき)

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