2009年/イギリス、カナダ 監督:テリー・ギリアム(『未来世紀ブラジル』『ブラザーズ・グリム』『12モンキーズ』) 配給:ショウゲート しかし、1000歳になるという博士には、悲しい秘密があった。それは、たった一人の娘が16歳になったときに悪魔に差し出すという約束をしたこと。タイムリミットは、3日後に迫った娘の誕生日。一座に加わった記憶喪失の青年トニーとともに、博士は、鏡の迷宮で最後の賭けに出る。彼らは、娘を守ることができるのか? が、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルという、今をときめくスター俳優を代役として迎えることで完成した『Dr.パルナサスの鏡』は、執念の甲斐あってテリー・ギリアムが久々に本領を発揮した作品に仕上がった。正直な話、『フィッシャー・キング』から『ブラザーズ・グリム』にかけての作品群は妙にきれいにまとめられており、過剰なまでの映像的猥雑さと割り切れない物語こそが魅力の『バンデットQ』や『未来世紀ブラジル』を愛する人間にとっては物足りないものばかりだった。 変化の兆しを感じたのは前作『ローズ・イン・タイドランド』だ。それまでの大作とはうってかわって地味な小品ではあったが、そこにはまぎれもないギリアムならではの毒とユーモアが散りばめられていた。 そして本作で鬼才ギリアムは本格的に復活した。ゴミだらけの現代のロンドンに時代錯誤の安っぽくも華やかな見世物小屋が現れ幻想的な風景を描き出す。そこはまぎれもなくファンタジーの世界だが、剣や魔法や妖精ではなく、現実世界と地続きの汚れや毒や死の恐怖が不安要素を誇張して存在する幻想世界。これだ。これこそファンが待ち望んでいたギリアムだ。ジュード・ロウが登場するシークエンスでは、ギリアムがモンティ・パイソン時代にアニメーターとして描いた情景を連想させる場面も出現し、ある種ギリアムの業績総決算的な楽しみ方もできる。 おそらくはレジャーの死によって変更を余儀なくされたことによるだろう軋みも随所に感じさせ、決して全力でオススメできるわけではないが、エンドクレジットに置かれたある文章メッセージとともに、現実から逃避することなく夢や想像力も決して捨てない、作り手たちの決意を感じさせる作品だ。(★★★☆ 田中元)
■Dr.パルナサスの鏡/The Imaginarium of Dr. Parnassus

(c) 2009 Imaginarium Films, Inc. All Rights Reserved.
(c) 2009 Parnassus Productions Inc. All Rights Reserved
鏡の中は、わがままな願望がいっぱい
この迷宮から、大切なひとを救えるのか?
出演:ヒース・レジャー(『ダークナイト』)、クリストファー・プラマー、リリー・コール、アンドリュー・ガーフィールド、トム・ウェイツ、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレル
公開2010年1月23日よりTOHOシネマズ有楽座他にて全国ロードショー
上映時間:124分
公式HP:www.parnassus.jp
■ストーリー
2007年、ロンドン。パルナサス博士が率いる旅芸人の一座が街にやってきた。博士の出し物は、人が密かに心に隠し持つ欲望の世界を、鏡の向こうで形にして見せる「イマジナリウム」。博士の鏡をくぐりぬけると、そこにはどんな願いも叶う摩訶不思議な迷宮が待っている。
■レヴュー
■DVD情報
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