Home > 旅シネ > モン族の少女 パオの物語

■モン族の少女 パオの物語/Chuyen Cua PAO

2006年/ベトナム

監督・脚本:ゴー・クアン・ハーイ
出演:ドー・ティ・ハーイ・イエン(『夏至』『愛の落日』)、グエン・ニュー・クイン

配給: ダゲレオ出版、イメージフォーラム・フィルム・シリーズ
上映時間/97分
公開:6月下旬、シアター・イメージフォーラム

 
■ストーリー
 
ベトナム北部、中国国境に近い山岳地帯に住む少数民族のモン族。その少女パオは、父と弟、育ての母であるキアと共に暮らしていた。父親は子どもができなかったキアの代わりに、別の女性シムとの間にパオと弟をもうけたのだ。しかしキアのもとで育ったパオは、時おり帰ってくる生みの親シムに心を開くことができなかった。成長したパオは市場で見かけた、笛を吹くのがうまい青年チューに恋をする。彼もまた、パオの家の前にやってきては笛の音で自分の気持ちを伝えた。ある日、二人はお祭りにでかけるが、そこでパオはキアが父ではない男性といるところを目撃してしまう。家に戻ったパオは母キアを問いただすが…。
 
■レヴュー
 
映画が始まってすぐ、その湿ったアジアの空気が漂ってくるような映像美に酔いしれた。咲き乱れる花、流れる川、険しい山々、緑の大地を覆う霧…、東南アジアを旅したことがある人なら、きっと懐かしさを覚えるだろう。とくに早朝の空気感がよく再現されている。

本作の柱は少女の成長物語だ。産みの母と育ての母が違う家庭で育った主人公パオが、実母を探しに行く旅を通して困難を乗り越えていく。旅が終わった時、パオは父や母を人間として見られるようになっていた。それが「大人になる」ということなのだ。話はシンプルだが、それはストーリーを複雑にするよりも、山岳地帯の風景やモン族の人々の暮らしぶりをたっぷり見せたいからだろう。

主人公パオを演じているドー・ティ・ハーイ・イエンはなかなかの美人。本作出演時には24歳ぐらいなので、「少女」というには大人だが、静かな存在感がある。(★★★前原利行)


■映画の背景

・ベトナムに暮らすモン族は約55万人。本作の舞台となったハザン省のドンバン高原には、そのうち22万人あまりが住むという。パオが青年と出会う市は、六日に一度開かれる「六斎市」。

・映画の後半では、パオはドンバンからバスに乗ってサパへと向かう。サパは外国人旅行者に人気の高原リゾート地。ゲストハウスも多く、バックパッカーにもポピュラーな場所だ。この周辺に住むモン族は、木綿の藍染めの衣装を身にまとっていることから、「黒モン」と呼ばれている。

・その後、パオが訪ねるのはソンラー省で、映画にはソンラーの町が少しだけ出てくる。


■関連情報
 
・本作で監督デビューを果たしたゴー・クアン・ハーイは、トラン・アン・ユン監督『青いパパイアの香り』『シクロ』『夏至』や、『季節の中で』『コウノトリの歌』などにも出演したベトナムの有名俳優。本作の主演女優ドー・ティ・ハーイ・イエンは、私生活では彼の妻でもある。

・本作は社会主義国ベトナムでは初めてのインディペント映画だという。

Home > 旅シネ > モン族の少女 パオの物語