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■パチャママの贈りもの/El Regalo de la Pachamama

ボリビアの塩湖で働く先住民の一家の少年が、父と共に塩を運ぶ旅に出る
ニューヨーク在住の日本人映像作家が、6年の歳月をかけて撮りあげた

2009年/日本、アメリカ、ボリビア

監督:松下俊文

配給:ゼアリズエンタープライズ
公開:12月19日よりユーロスペースにて
上映時間:102分
公式HP:www.pachamama-movie.com

 
■ストーリー
 
南米ボリビアのウユニ塩湖。果てしなく続く塩の大地で働いている親子がいる。先住民の少年コンドリは13歳。家族の愛に育まれ、仲の良い友だちと遊び、のびのびと育っている。大好きだった祖母の死、町へ移住していく友だち…。そんな日々が過ぎていく中、コンドリは初めてのキャラバンの旅に出ることになった。リャマに塩の塊を積み、高齢の祖父に代わって父と2人で、アンデスの山道を3ヶ月も旅するのだ。ポトシ鉱山での悲しいできごと、リャマの盗難、脚を折ったリャマ…。やがて、祭りでにぎわうマッチャの村に着いたコンドリは、山里からやってきた少女に出会う。
 
■レヴュー
 
とにかく画面が美しい。広大な塩湖の白、そしてその上に広がる雲ひとつない青空。その間に人間がいる。空気が薄い、乾燥した高地ということもあり、青空はパキーンと澄み、すべての輪郭がくっきり見える。そしてどの場面でも、陽の光が実にいい感じで当たっている。「プロダクションノート」によれば、たいていの撮影は早朝と夕刻のマジックアワーに行われたという。「いい光」は映画の基本だが、まずそれを待って撮影できる、粘り強さに感心した。

とくに大きなストーリーがあるわけではない。村に暮らす少年の日常が前半で語られ、途中から父に連れられてキャラバンに出る。事件がないわけでもないが、その多くは淡々と語られる。しかし美しい映像と、先住民の人々の暮らしぶり、時たま挿入される幻想的な描写に目を奪われ、退屈することはない。とにかく「時間をたっぷりかけて撮った」ことが画面から伝わる。素人俳優達の演技も自然だ。

監督は現在ニューヨークでCMやドキュメンタリーを制作している日本人。先日公開された『ウイグルから来た少年』(カザフスタンで製作)のように、これからこうした海外で活躍する日本人による映像作品も増えていくのだろう。せわしい年末のひと時、早い時の流れを忘れて観るのにいい感じだ。(★★★☆前原利行)


■映画の背景

・映画の舞台となるボリビアの国土の20%は、標高3000m以上の高原地帯。ウユニ塩湖はそこにある、南北約100km、東西約250kmの世界最大の塩湖。海抜3700mという高地にあるが、かつては海の底だった。

・「ティンク」は別名「ケンカ祭り」とも呼ばれ、男達が戦闘の格好で血が出るまで殴りあう。この祭りの発祥の地と呼ばれるのが、映画にも出てくるマッチャの村だ。この祭りの撮影は3回(3年)に渡って行われた。

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