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■ヴィットリオ広場のオーケストラ/L’orchestra de Piazza Vittorio


(C)Lucky Red/Pirata M.C/Bianca Film
 
2006年/イタリア

監督・脚本:アゴスティーノ・フェッレンテ
出演:マリオ・トロンコ、アゴスティーノ・フェッレンテ、ディーナ・カポツィオ、モハマンド・ビラル、フシン・アター

配給:オンリー・ハーツ
公開:11月3日(土・祝)渋谷シアター・イメージフォーラム公開!他全国順次ロードショー
上映時間: 90分
公式HP:www.vittorio-hiroba.com

ローマ旧市街の多民族エリアで生まれた多国籍オーケストラ。その結成の姿を描いたドキュメンタリー。
音楽だけで世界一周したような気分になれる。

 
■ストーリー
 
ローマ旧市街のヴィットリオ広場周辺は、アジアやアフリカなど60以上の移民たちが住む多国籍エリアだ。そこに住むミュージシャンのマリオとドキュメンタリー作家のアゴスティーノは、同じエリアにある映画館アポロ劇場が閉館することを知り、それを救う手段を考える。それは様々な人種や宗教、職業の多国籍のミュージシャンからなるオーケストラの結成だった。早速メンバー集めに街を行く2人だが、思うように協力を得ることができない。しかし2人の熱意は少しずつ実を結んでいく。
 
■レヴュー
 
 僕がローマに行ったのは一度だけ。それも10年ほど前だ。この映画の舞台となるヴットリオ広場からそう遠くないテルミニ駅に着いた僕は、そこにイメージしていた「白人のイタリア人」ではなく「非西欧人」の姿ばかり目に入ることに驚いた。駅とヴィットリオ広場の間にある安宿の経営者はイラン人。近くにはアラブ系やら東アジア系の人々の雑貨屋が多かった。

 このドキュメンタリーの舞台となるヴィットリオ広場周辺は、ローマで最も多くの民族が混在する場所だという。増える移民に対して反対する人々もいるが、オーケストラ結成を思いたった2人には、ここは様々な民族が協力し合う、すばらしい実験の場だと思ったに違いない。世界中の音楽がこのローマでミックスし、調和を生み出すと。ただしメンバーは自然発生的に集まった訳ではなく、この2人が説得してかき集めたものだから、当然様々なエゴがぶつかる。みんな自分の生活で忙しいし生きていくのに必死だから、「どんな音楽になるかわからないリハーサルに来るなら、働いていた方がずっといい」と考えても当然だ。

僕もバンドをしていたことがあるが、初めての人とバンドを組む時は、最初に音を出すまではとても不安なものだ。口ではうまいことを言いながら、いざ音を出すとがっかりするほど大したことがなかったり、その逆だったりもある。また目指すジャンルが違えば、しっくりくるはずがない。このヴィットリオ広場のオーケストラでも、リズムやメロディの解釈も民族により違う。チュニジアの男性歌手はエクアドルの歌手がスキャットの自作を披露すれば、「歌詞がないなんて歌じゃない」とケチをつけるし、インドの楽器演奏者は母国ではカーストが低いメンバーが重宝されることに嫌な顔をする。

しかし音楽とは不思議なもので、演奏がうまくいったときの高揚感は、そんな経緯を吹き飛ばしてしまうのだ。オーケストラが生まれる瞬間のそんなマジックを、本作は見せてくれる。彼らが紡ぐ音楽は、アラブ、ボサノバ、インド古典音楽、ジプシーと多様で、生で見てみたいものだ。惜しいのはこのドキュメンタリーが、オーケストラが誕生して最初のコンサートを行うところで終わっていること。その後の活動も見せて欲しかった。

あと残念なのが、移民で一番多い中国系の参加がないこと。いくら誘いかけても誰も乗ってこない姿を見ると、同じ東アジア系としてはちょっと残念。ま、日本人が加わればいいのか。(★★☆前原利行)

 
■DVD情報
 
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