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■One Love ワン・ラブ
 
2003年/ジャマイカ、ノルウェー、イギリス

監督:ドン・レッツ、リック・エルグッド
音楽:ボブ・マーリー、キマーニ・マーリー
出演:キマーニ・マーリー、シェリーヌ・アンダーソン、アイドリス・エルバ

配給:アートポート
上映時間:96分
公開:9月2日よりシアターN渋谷にて

 
■ストーリー
 ジャマイカのキングストン。音楽コンテストの開催が近づき、練習にいそしんでいるバンドがあった。しかしバンドのヴォーカルのカッサは、メンバーのクローデットの歌に満足できない。一方、教会でゴスペルを歌う牧師の娘セリーナは、厳しい父の教えに疑問を抱くようになっていた。また、父が決めた婚約者との結婚にも、迷いが生じていた。そんな2人が、コンテストのためのデモテープ作りのスタジオで偶然出会う。彼女の歌声に惚れ込んだカッサは、彼女をバンドに誘い、2人は次第に惹かれ合っていく。しかしお互いの信仰が厚い壁となって立ちふさがった。
■レヴュー
 
 ジャマイカといっても、レゲエとラスタのイメージしかない僕にとって、本作はジャマイカの風俗を知るというだけでも面白かった。

 話は「コンテストに夢をかけ、プロデビューを目指す」というタテのストーリーに、ラスタファリアンの主人公とクリスチャンのヒロインの、「宗教」という障害を抱えたラブ・ストーリーが絡むという、古典的なもので新味はない。また、演出もふつうで、これといったキレはない。

 しかし主人公が悪徳DJに反撃するのに「黒魔術」を利用するとか(悪人も魔術を恐れている)、ヒロインが外出に使う乗合いタクシーなど、随所にジャマイカのローカル色が感じられて興味深い。あとラスタファリ(ラスタ教)のこともそのルックスぐらいしか知らなかったので、「ラスタファリアンはマリファナはするが、コカインはしない」「ラスタは菜食主義だ」という主人公のセリフが面白かった。

 それとジャマイカの宗教事情。島中ラスタかと思っていたら、実はキリスト教徒の方が多く、なかにはヒロインのような厳格な宗派もあるようで、なかなか勉強になりました。

 あと、レゲエに詳しくない僕でも(僕だから?)、主演のキマーニ・マーリーがルックスといい、歌声といい、オヤジのボブ・マーリーにそっくりなのがうれしくなった。そのボブ・マーリーの名曲「ワン・ラブ」で幕を上げるこの『One Love』は、ジャマイカとレゲエが十分に堪能でき、まさに夏にピッタリの作品。「愛はすべての障害に打ち勝つ」というエンディングも、気分をハッピーにさせてくれ、デートムービーにいいかも。「想定内」の気持ち良さで、☆おまけして(★★★前原利行)

 
■映画の背景
 
 ジャマイカのキリスト教には、かなり原理主義的な右派から、魔術のたぐいを取り入れた土俗的なものまでさまざま。ラスタ教も、キリスト教(旧約聖書)の教義を取り入れたもので、エチオピア皇帝を現人神JAH(ジャー)として崇め、白人の支配する世界からエクソダスしてアフリカ(ザイオンの地)に黒人の世界を打ち立てるのを目標としている。ガンジャは旧約聖書に出てくる「聖なるハーブ」なので、OKなのだそうだ。
 

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