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■ヒマラヤ 運命の山/Nanga Parbat

ナンガ・パルバート峰に挑み、悲劇を生んだ
1970年のドイツ隊の登山を実話をもとに描く。

2009年/ドイツ

監督:ヨゼフ・フィルスマイアー
出演:フロリアン・シュテッター、アンドレアス・トビアス、カール・マルコヴィクス

配給:フェイス・トゥ・フェイス
公開:8月6日よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋にて
上映時間:104分
公式HP:www.himalaya-unmei.com

 
■ストーリー
 
ヒマラヤ山脈の西側のパキスタンにある、標高8125mのナンガ・パルバート峰。高さは世界第9位だが、世界最大の標高差4500mのルパール壁があり、多くの登山家たちが魅了され、ここを目指してきた。しかし、一方では多くの登山家が命を落とし、「魔の山」とも言われていた。1970年、ヘルリヒコッファー博士率いるドイツの遠征隊がこの峰に向かった。その中にラインホルトとギュンターの兄弟がいた。2人は幼い頃から登山の腕を競い合う仲だった。ヘルリヒコッファーの消極的な姿勢に、自信家のラインホルトは反抗的な態度をとる。チャンスが生まれないまま、最後のアタックに望みをかけたラインホルト。想定外は、兄の後を追って上ってきた弟のギュンターだった。登頂は成功するが、その後に、悲劇が待ち受けていた。
 
■レヴュー
 
勉強不足で、ナンガ・パルバートの存在を知ったのは、旅でパキスタン北部に行ったときのこと。中国からカラコルム・ハイウェイを越え、フンザに降りてきたとき、偶然、日本の遠征隊に出会った。彼らが上ったのはナンガ・パルバートではないが、場所的に、その時ナンガ・パルバートの名を耳にしたのだろう。

本作では、活発でアグレッシブな兄とそれを追うようにして育った弟の関係がそのまま登頂に持ち込まれ、悲劇が起きるということになっている。もともと、登頂は兄、そして弟の独断で行われたもので、チーム全体の動きを損なうものだったという立場の意見がある。下山後、双方の主張がぶつかり、ラインホルトは弟を亡くしたばかりか、自分の主張を記した本の出版差し止めを受けている。実力はかなりある人なのだが、我も強く、敵に回した人もずいぶんといたらしい。本作はその汚名を正したいからだろうか、ラインホルト自身がアドバイザーとして参加し、自分の主張を盛り込むシーンもある。ただし映画全体の印象としては「誰が悪い」ということではなく、人間同士の不信感やライバル意識、自分への過信などが絡み合い、少しずつ悲劇に向かっていったといっているように感じる。

節電でエアコン使用が限られているこの夏、劇場で涼むにはまちがいなく最適の作品が本作だ。実際にナンガ・パルバートでロケをした高山の映像は、細部までくっきりと見え、劇場の大画面で見てみたい。(★★★前原利行)

 
■映画の背景
 
正確なロケ地の詳細はわからないが、事実に即し、ナンガ・パルバート周辺でのロケや空撮が行われている。ラインホルトがひとり下山して訪れる村は、フンザ周辺の景色を思い出した。彼が渡る吊橋の下を流れているのは、インダス川。実際の登山シーンは南チロルやオーストリアの山々で撮影されているが、風景シーンと違和感はない。

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