2010年/イタリア 監督:フェルザン・オズペテク 配給:セテラ・インターナショナル 物語は予期せぬ事態に戸惑うトンマーゾを中心に回るが、カントーネ家の人々の群像劇として仕立てられている。過去の「想いを抱えて生きる祖母、カミングアウトしてしまった真面目な兄、息子の問題に当惑する父と母、独身でアル中・妄想過多の叔母、お調子者のナポリ男と結婚した姉と過食気味の子供たち。さらに、美しい共同経営者アルバは、トンマーゾに想いを寄せてしまい、ローマからやってきたトンマーゾの「恋人」とその仲間たちも絡んで物語を盛り上げてくれる。それぞれのキャラクターが個性豊かで濃いのは、イタリア映画ならでは。ポスト・アルモドバルとも言われるオズペテク監督は、登場人物ひとりひとりにきっちりとスポットライトを当てている。 原題は「浮遊機雷」。人はみなフワフワと浮いている状態で、家族や社会の中で自分の居場所を決められずにいる。ここに登場する人々も同じように、過去に縛られていたり、プライドや常識に邪魔されていたりして、人生を自分の思うようには切り開けない。それでも、葛藤し、ぶつかり合いながら己のアイデンティティや生き方を見つけていこうとする。そのキーとなるのが、イラリア・オッキーニ演じるおばあちゃん。トンマーゾたちの思いを受け止め、自分の幸せとは自分らしく生きることだと気づかせてくれる。そして彼女の決意は、家族の絆の大切さを教えてくれる。未来へつながるようなラストシーンが印象的だ。(★★★加賀美まき)
■あしたのパスタはアルデンテ/Mine vaganti
南イタリアの美しい町レッチェを舞台に、
家族の愛と絆をユーモアたっぷりに描くハートフルな作品。
脚本:イヴァン・コトロネーオ、フェルザン・オズペテク
出演:リッカルド・スカマルチョ、ニコール・グリマウド、アレッサンドロ・プレツィオージ
上映時間:113分
公開:8月27日、 シネスイッチ銀座他にてロードショー
公式HP:http://www.cetera.co.jp/aldente/
■ストーリー
パスタ会社社長の息子トンマーゾ(リッカルド・スカマルチョ)は、家族には経営学部と偽って文学部を卒業し、小説を執筆していた。さらに大きな秘密を抱える彼は、長兄のアントニオ(アレッサンドロ・プレツィオージ)が新社長に就任する食事会でそのことを告白しようとした矢先、兄が驚がくの秘密を発表。トンマーゾは何も言い出せないまま、兄の代わりに会社の経営を任されてしまい……。
■レヴュー
舞台は南イタリアの美しい町レッチェ。ある日、老舗のパスタ会社を経営するカントーネ家で、息子たちに会社を引き継ぐための夕食会が開かれる。ローマで暮らす次男のトンマーゾも呼び戻されるのが、彼は家族の意に反して文学部を卒業し、小説家志望。会社を継ぐ気など全くない。さらにもうひとつの隠し事を夕食会の場で公表するつもりだった。ところが、会社を継ぐべき長男アントニオが、自分はゲイだとカミングアウトしてしまう。兄はその場で勘当され、父は卒倒。自分も実はゲイ、とは言えなくなってしまったトンマーゾは、共同経営者となったアルバと共に会社運営をまかされるはめに。こうして、保守的な町に住む、保守的な家族の中で騒動が繰り広げられる。
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