なぜブッシュが大統領たりえたのかが分かる『ジーザス・キャンプ〜アメリカを動かすキリスト教原理主義〜』では、イスラムだけではない原理主義の実態と恐さが描かれている。
これと対をなすのは、ビッグマックを食べ続けた『スーパーサイズ・ミー』の監督が、ビン・ラディンを探しに所縁のイスラム諸国を旅するロードムービー『ビン・ラディンを探せ!〜スパーロックがテロ最前線に突撃!〜』。モスリムの国を旅したことのある人なら色々共感できるはず。難しく語られがちな問題を身近に興味の持てるエンタテイメントにして語ろうとする試みにも頭が下がる。
同様に、社会問題を自分や家族の憧れや思い出、歴史と絡めて語るのは、『ステロイド合衆国〜スポーツ大国の副作用〜』。『ビーイング・ボーン〜驚異のアメリカ出産ビジネス〜』も監督や製作スタッフ自らの出産までの疑問や不安、熱い思いが込められているので力強い。
もはや世界のドキュメンタリーの一大ジャンルともなっている、問題のある多国籍企業(アメリカ)vs地元民(途上国)ものとしては、世界の水問題を扱った『フロウ〜水が大企業に独占される!〜』と、石油メジャーによる南米エクアドルでの世界最大級の環境汚染問題を追った『クルード〜アマゾンの原油流出パニック〜』がある。地元民に感情移入しながらも、人ごとであって欲しいと思ってしまうのだが、そんな多国籍企業(アメリカ)に依存しっぱなしな自分たちの立ち位置やあり方も振り返ってみたい。
『カシム・ザ・ドリーム〜チャンピオンになった少年兵〜』は、生まれ故郷ウガンダで拉致され、少年兵として大量虐殺に加わったトラウマを持つ男が、亡命したアメリカでIBFジュニア・ミドル級チャンピオンになり、里帰りを果たす姿を追ったもの。『ラスト・キング・オブ・スコットランド』でウガンダの暴君アミンを演じ、アカデミー賞主演男優賞をとったフォレスト・ウィテカーが製作スタッフに名を連ねている。
同じように、体制に翻弄された脱北者の証言集『金正日花/キムジョンギリア』は、今年公開の問題作『クロッシング』の内容を裏付けていて、観ていると無力感に襲われる。
『ジャンデック〜謎のミュージシャンの正体を追う〜』は、テキサスのアシッド・フォーク・シンガー、ジャンデックの音楽の素晴らしさを、数々の証言とともに伝えたもの。
CBSドキュメント(60minutes)が地上波で見られなくなって以来、見る機会の減っていたアメリカのドキュメンタリーだが、やはりそこには行き過ぎた色々な問題とそれに抗う人々の最先端があるので面白いのだろう。
これらの上映に合わせて、いくつかのトークショーも企画されている。
(★★★☆今野雅夫)
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