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■隠された日記 〜母たち、娘たち〜Meres Et Filles


(c) 2009 Sombrero Films - France 3 Cinema - Filmo

1冊の日記を通して描かれる、母と娘3世代の女性たちの物語。

2009年、フランス

監督:ジュリー・ロペス=クルヴァル
脚本:ジュリー・ロペス=クルヴァル、ソフィー・ハイエ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、マリナ・ハンズ、マリ=ジョゼ・クローズ、ミシェル・デュショーソワ、ジャン=フィリップ・エコフェ

配給:アルシネテラン
上映時間:104分
公開:10月23日、銀座テアトルシネマ他全国順次公開
公式HP:http://www.alcine-terran.com/diary/

 
■ストーリー
 
 カナダで働くオドレイ(マリナ・ハンズ)は、予期せぬ妊娠で子どもを産むかどうかの決心がつかず、仕事を抱えたまま故郷のフランスに帰省する。相変わらず、母マルティーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)との折り合いは悪く、彼女は以前一家で住んでいた海辺の家でひとり休暇を過ごすことにする。

 そんなある日、台所で1冊の古い日記を見つける。それは50年前に母と幼かった叔父を残して失踪した祖母ルイーズ(マリ=ジョゼ・クローズ)のものだった。祖母は子どもを捨てた身勝手な女性と聞かされていたオドレイだったが、日記には自由に生きられない祖母の苦悩と葛藤、子どもたちへの深い愛情が綴られていた。何故、祖母は家を出て、そのことについて母は何も語らないのか。オドレイは日記をひも解きながら、祖母、母それぞれの思いに触れていく……。

 
■レヴュー
 
 原題は、邦題のサブタイトルにもなっている『母たち、娘たち』。3世代に存在するふたり母親とふたりの娘の物語である。それは仕事や妊娠の不安を抱えて帰国した娘オドレイによって語られるのだが、主人公は彼女の母であるマルティーヌ。彼女は母親であると同時に、過去に家を出て戻ることのなかった祖母ルイーズの娘でもある。彼女は理解のある男性と結婚して医者として自立し、幼い頃に母親に捨てられという心の傷を封印するかのように、自分の娘にも自立して生きることを強いてきた女性だ。そのせいか母は自分の娘に暖かく接することができず、娘はそんな母の心に近づけずにいる。だが、オドレイは祖母の日記を見つけ、女性が自立することなど許されなかった時代に生きた祖母の苦悩を知ることになる。少しずつ読み解いていくうちに、それはつまり、長い間心に深い傷と葛藤を抱えながら生きてきた母マルティーヌを理解することにつながっていく。

 女性の自立先進国のフランスでは、女性の地位向上や生き方の変化は、日本に比べて遥かに大きいはず。この物語は時代とともに女性が自立していく姿を追いながら、母娘3世代、3人3様の女性像を丁寧に描いている。子どもたちを残してまで家を出た祖母は何を思い、娘に対して素直につき合えない母は、何を抱え込んでいるのだろうか。日記の存在が、時間の流れを超えて母たちの本当の姿を浮き彫りにしていく。彼女たちの心の機微を伝えながら、母たちと娘たちはゆっくりと心を通わせ始め、やがてお互いを許し合っていく。祖母の失踪はミステリー仕立てになっていて、最後は衝撃的な事実が明らかになるのだが、そこでマルティーヌが初めて本当の自分の姿をさらけ出す。それまで押さえ込んでいた感情を吐露する母を演じるカトリーヌ・ドヌーヴの姿は圧巻だ。

 母と娘というのは不思議な関係である。自分に一番近い存在でありながら、反発してしまう。嫌な面ばかりが目立ち,否定したくなる。それは自分にとてもよく似ているからなのだと思う。だからこそ、母と娘は最後には、一番理解し合える存在になるのであろう。私事だが、筆者も母と娘両方の立場にいて、この物語には自分の心の内を投影しているところが多々あった。きっと、この作品は多くの女性の心に共鳴するのではないかと感じる。どの時代にあっても、女性たちは自分らしく、懸命に生きる道を探していると思うからである。(★★★☆ 加賀美まき)

 
■DVD情報
 
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