2010年/オーストリア 監督:ウォルフガング・ムルンベルガー 配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム ある日ヴィクトルは、カウフマン家が密かに所有してきた「ミケランジェロの素描」の在りかをルディに話してしまう。ナチス・ドイツに傾倒していたルディは、イタリアとの条約を優位なものにしたい当局にその情報を提供。絵は没収され、カウフマン一家は収容所へ送られてしまう。しかし、その絵が贋作であることが発覚する。本物の在りかを知る父親は、息子にあるメッセージを残してすでに死亡。ヴィクトルは母を救うため、絵の在りかを知らぬままナチス・ドイツとの駆け引きに出る・・・。 そして後半。九死に一生を得た二人のサバイバルゲームが始まる。「制服」が二人の事情に変化をもたらすと雰囲気は一転。「ミケランジェロの素描」はどこにあるのか。ユダヤ人のヴィクトルは生き残れるのか、母親の救出は・・・、時折ユーモアを加えながら、テンポよく展開するサスペンス・ミステリーにぐいぐいと引き込まれる。主演のモーリッツ・ブライプトロイが、機転をきかせ難局を乗り切っていくヴィクトルを茶目っ気たっぷりに演じ、一方、適役のオーストリア俳優ゲオルク・フリードリヒも後半の抜け感が絶妙。前後半でのふたりの変化が見所だ。 アカデミー賞・外国語映画賞を受賞した『ヒトラーの贋札』のスタッフが手掛けたこの作品。双方ともナチスと命を賭けた取引をするユダヤ人の物語だが、史実を基にした前作のシリアスな物語とは違い、コミカルな演出を含むサバイバル・サスペンス劇へ仕上げた本作。『イングロリアス・バスターズ』以降、この時代の描き方も多様になったと感じる。物語はスリリングに展開し、ラストは実に小気味いい。(★★★☆ 加賀美まき)
■ミケランジェロの暗号/MEIN BESTER FEIND

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幻の「ミケランジェロの素描」をめぐって繰り広げられるサスペンス劇。
絵の在りかを切り札に、ひとりのユダヤ人がナチス・ドイツ相手に危険な駆け引きに出る。
脚本:ポール・ヘンゲ
出演:モーリッツ・ブライプトロイ、ゲオルク・フリードリヒ、ウルズラ・シュトラウス
上映時間:106分
公開: 9月10日(土)より TOHOシネマズ シャンテ ほか全国ロードショー
公式HP:http://code-m.jp/
■ストーリー
1938年のオーストリア、ウィーン。ユダヤ人のカウフマン家が営む画廊に、かつての使用人の息子ルディ(ゲオルク・フリードリヒ)が訪ねてくる。一家に可愛がられて育ったルディは、息子ヴィクトル(モーリッツ・ブライプトロイ)とは兄弟同然の仲。二人は再会を喜ぶ。
■レヴュー
ユダヤ人の画商一家に伝わる「ミケランジェロの素描」を巡り、ナチス・ドイツと命がけで駆け引きをするユダヤ人のサバイバル・サスペンスだ。冒頭、ナチス・ドイツの軍用機がパルチザンに撃ち落とされる。助かったのはユダヤ人の男とナチス親衛隊SSの将校。二人はウィーンで画商を営むカウフマン家の息子ヴィクトルと一家の使用人の息子ルディで、二人は兄弟同然に育った仲だった。前半は時を戻し、二人の再会から、「ミケランジェロの素描」がナチスの手に奪われ、実はそれが贋作であったこと、その在りかを切り札に、ヴィクトルが母を救うための駆け引き出るところまでが語られる。ナチス・ドイツに傾倒して親衛隊SSの将校にまでなっていくルディ。親友の裏切り、ユダヤ人迫害など、その時代の暗く重苦しいシリアスな展開が続く。一人の男が、親衛隊のあの黒い「制服」に身を包むことで、変貌してくところは、その時代の怖さを象徴的に物語っている。