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■マクナイーマ/Macunaima

ブラジル発、シュールで奇妙な世界とギャグ
幻のカルト映画が40年の時を経て日本公開

1969年/ブラジル

監督:ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ
出演:グランデ・オテロ、パウロ・ジョゼ

配給:エスパース・サロウ
公開:12月上旬よりシアター・イメージフォーラムにて
上映時間:105分

 
■ストーリー
 
アマゾンの森に響き渡る産声。老女から生まれ落ちたのは黒人の中年男の姿をした赤子。彼は不吉を意味する“マクナイーマ”と名づけられる。成長したマクナイーマは、兄たちからバカにされながらも、裏ではしっかりと兄嫁たちを寝取っていた。ある日、マクナイーマは魔法の泉の水を浴び、白人の青年に変身する。森を抜け出し、2人の兄と都会に出たマクナイーマは、そこで美しい女ゲリラのシーと出会う。大事なのはお金とセックス。マクナイーマは堕落した日々を過ごすが、その生活もシーの死と共に終わる。

シーは“幸運を呼ぶ石”を肌身離さず持ち歩いていた。それを今では“巨人”の異名を持つ大金持ちが、持っていると聞いたマクナイーマは、石を奪おうとするが…。

 
■レヴュー
 
安っぽいメイクや衣装、そしてバラエティ番組のようなギャグやトーク、毒のあるビジュアル。たぶん当時のブラジルの人たちは大笑いして観ていたのだろう。ところが当時の時代背景も、笑いどころもわからない私たちにとっては、本作はメキシコの『エル・トポ』、グルジアの『懺悔』のような、シュールレアレズムを取り入れた映画になってしまった。たとえば、1980年代のテレビバラエティ「俺たちひょうきん族」の1コーナーの“たけちゃんマン”が映画化され、元となったテレビを知らずに外国人が観たらこんな感じなのかもしれない。とはいえ、フランスではカルト映画になり、3年に及ぶロングランを記録したという。

主人公のマクナイーマは、お金と女が大好きだが怠け者のアンチヒーローで、ロケ撮影されてはいるが、現実とは異なる非現実的な世界で活躍する。この映画が作られた時代は、ブラジルでは思想弾圧が行われていた軍事政権下。言いたいことを言えない状況が反映されているのだ。という映画マニア的な解釈もできるが、それだけではブラジルでヒットはしないだろう。たぶん、そうした政治批判的なことも含んでいると思うが、それだけではないはずだ。ヘンテコな世界が好きな人には楽しめるが、それでもゆるい。たけしの『みんな〜やってるか!』という映画を思い出した。(★★☆前原利行)

 
■関連情報
 
ブラジルでは、50年代から60年代にかけてイタリアのネオリアリズモやフランスのヌーベルヴァーグの影響を受けた、“シネマ・ノーヴォ”という新しい映画運動が起きた。本作は12月上旬からシアター・イメージフォーラムで上映される「シネマ・ノーヴォ特集」の5本のうちの1本。他の作品は『リオ40度』(1956)、『乾いた人生』(1963)、『切られた首(1970)、『夫婦間戦争』(1975)

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