例によって、『猟奇的な彼女』を撮った監督の最新作という意外、なんの前知識もなく試写席に座った僕は、試写室が満席状態で、少し熱気を帯びているのに気付いた。『猟奇的な彼女』はまだ見てなかったのだが、日韓で大ヒットしたことだけは知っていた。ハリウッドがリメイク権を買ったというのも知っていた。でも今のクソ面白くない映画を多産するハリウッドが買ったらといって、何の感慨もない。ヒットしたからといって、自分が楽しめるかどうかというのは別問題なのだ。
冒頭のシーンで、主人公ジヘが住む屋敷を観て、これはギャグなのだろうか?と思った。ツタの絡まる瀟洒な屋敷の窓辺には白い鳩がとまっているのだ。しかし、どうやら本気の設定らしい。きっと少女マンガか、トレンディードラマみたいな映画なんだろうなと、半ば諦めて見ていた・・・・。
1時間30分後、僕は滝のような涙を抑えることができなかった。どうして?こんな映画に・・・。予想もしていなかった自分の感情にびっくりし、なんだか腹がたった。裸になって風呂に入ろうとしたら、水風呂だった時のバツの悪さに似ている。
(泣かせる映画だって前もっていっといてくれよ!)
現代に生きる女子大生ジヘの恋愛模様と、彼女の母親の初恋時代を交互に見せていく物語の構成は巧みだ。どこかで見聞きしたような話ではあるし、恋に恋するファンタジーがかった映画ではあるのだが、テンポよく、時に笑いをまぜながら次々と予想を裏切ってくれる。そして心憎い挿入歌に煽られて、いつのまにかどっぷり監督の手中に・・・。何と言っても主演のソン・イジェン、チョ・スンウがいい。この二人、将来、韓国映画の宝になるであろうと思う。★★★(カネコマサアキ)
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後日、『猟奇的な彼女』(★★☆)を観た。80年代に一世を風靡した少年サンデー系ラブ。コメ・マンガを思い出した。
試写室では、かつて『時をかける少女(もちろん原田智世版)』を見て涙した大の大人が泣いていた(オレだ)。現代の女子大生と彼女の母親が高校生だった過去が交差し、引っ込み思案な主人公が母の日記を読んで…、というマンガのような設定だが、見ていて「あんな恋愛がしたかった!」という気になってくる。シチュエーションがいちいちツボを得過ぎているのだ。それも監督のプロフィールにこんなコメントを発見した。「思春期に実際の恋愛をすることができず、想像することの方を楽しんだ…」。実際の恋愛は妄想を超えることはないと思えば、恋愛映画は妄想度が強いほどのめりこみ、愛される作品になる(王女様と恋する「ローマの休日」、2人の男に愛される「カサブランカ」…)。思春期に実際の恋愛をすることができなかった僕は(男子高だったことは言い訳にならない)、監督のこの言葉に妙に納得した。
☆1個涙の分をオマケしたら★★★★だ!(前原利行)