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■東京失格 lost in tokyo
2006年/日本

監督・脚本・撮影・編集:井川広太郎
出演:福島拓哉、岩崎高広、TOMOMI、西藤尚、金井アヤ、こばやしまり
制作・配給:P-kraft
上映時間:90分

公開:8月19日(土)〜9月1日(金)シネマアートン下北沢にて連日21時よりレイトロードショー
公式サイト:http://film.m78.com/lostintokyo/

■ストーリー
 
売れないバンドマンのタックン(福島拓哉)、サラリーマンのたかちゃん(岩崎高広)、そして司法浪人のエイジ(上倉栄治)は、大学でバンドを結成して以来10年の仲。 30代になっても3人はしばしば集まっては酒を飲み交わしていた。
しかし、ある日突然、エイジの訃報が届く・・・。

葬式帰り、タックンとたかちゃんは家に帰ることも出来ず、昼間からありったけの友人を集めて飲み騒ぐ。
たかちゃんの恋人であるナオ(西藤尚)は心配しながらも、思い付くままに行動する2人の男を見守るしかない。
深夜になって友人達が帰り始めると、今度は知人の店に行って、2人は酒を飲み続ける。

何を語るでも無く、どこへ行く訳でもなく、現実を受け入れられず、ただただ感情の整理がつかないまま、東京をさまよい続けるタックンとたかちゃん。

そして、翌日になっても離れられない彼らのもとに、エイジの恋人であったカンナ(TOMOMI)からメールが来る・・・。

 
■レヴュー
 
 年齢も30を過ぎて、昔思い描いた自分には未だ到達できず、今後もそこに到達できそうにないことにも薄々感づいていて、そんな中、同じような境遇にある友人が命を絶つ。諦めていた夢をもう一度、といった作品はいくらでもあるだろうし、その方が一般受けも口当たりがいいのもわかるが、しかし現実はそう甘くない。『東京失格』は、そんな現実から目をそらそうと東京中を飲み歩く主人公を追いつつ、最終的に彼らが現実を直視し、受け入れて生きていく決意をするまでを、ささやかな救いと共に描く。真摯に生きているのであれば、思い描いていた自分に到達できていなくても、それは肯定されるべきだ、と。

 という物語的テーマ的側面が心に染み入る30代半ばなわけですが、同時に本作品で圧倒されるのは、描写の途轍もないリアルさだ。特に前半の居酒屋での雑談シーンのあまりにも自然な会話の応酬は、ほとんどドキュメンタリーのレベル。しかもそれが物語から全く浮いていない。「自然な会話」を演出しようとした作品は過去にいくらでもあるだろうが、本作のそれは凡百の「自然な会話」映画と明らかに一線を画している。そのリアルで空虚なだらだら感がこの映画の持つテーマ性に完璧にマッチし、主人公同様に直視したくない現実も多々ある私に突き刺さるのであった。とはいえ先に書いたように、最終的にはその現実を肯定してくれる、厳しくも優しい一作である。(★★★田中元)

 
■関連情報
 
 井川監督は数多くの劇場用映画でカメラマンを務めており、本作が劇場用映画監督デビュー作。
 
■DVD情報
 
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