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■Little Birds〜イラク 戦火の家族たち〜


2005年/日本

撮影・監督:綿井健陽
製作・編集:安岡卓治(『A』『home』)

配給:Project Little Birds
上映時間:102分
公開:新宿K's Cinemaほかにてゴールデンウィーク公開
公式HP:www.littlebirds.net/
 
■解説
 
 2003年3月、アメリカ軍のバグダッド侵攻が始まる。空爆は多くの人々の命を奪い、残されたものにも大きな苦しみを与えた。父親アリは目の前で3人の子どもを失い、少女ハディールは右目を負傷、少年アフマドはクラスター爆弾で右手を失った。この作品はバグダッドからの中継を続けた綿井健陽(アジアプレス)が、その1年半の取材期間で撮影した映像から、「テレビという媒体では伝えきれなかったイラクでの戦争」を、ドキュメンタリー映画という形で完成させたものだ。
 
■レヴュー
 
 「ニュースはインターネットで十分」という人もいるが、それだけでは何か肝心なことがすっぽり抜け落ちていると感じてしまう。僕も海外に出た時などはインターネットのニュースを読む。しかし帰国後、そのニュースの話を友人らとすると、僕が想像していたものとは異なった受け止め方を日本ではされていたということがある。インターネットのニュースよりもはるかに情報量が多いテレビのニュースでも、新聞や週刊誌の記事に比べてもの足りないことはしょっちゅうだ。監督の綿井はテレビのニュース番組で現地からの中継をしていただけに、現実のニュース番組の枠組では自分の意見がうまく伝わらないことがもどかしく思えたのだろう。10分で伝えられることと、102分で伝えられることはやはり違うのだ。
 本作は「戦争ドキュメンタリー」とはいっても、兵士たちの視点ではなく、あくまで一般庶民の目線で訴えるビデオ・ドキュメントだ。この作品はイラク人1人1人が遠いところにいる人たちではなく、私たちと同じ人間だという当たり前のことに気づかせてくれる。子どもを失った親の悲しみには、「戦争の大義」をいくら唱えてもそれは愚かしい存在にしかすぎない。「個人の幸せ」をいとも簡単に押しつぶしてしまう、それが戦争であることを再認識させられた。(★★★☆前原利行)


 開戦当時、TVや新聞で膨大な量のニュースが流されたのだが、それだけでは伝えきれなかった戦争の現実がこの映画の中にはある。
 例えば、カメラは3人の子供を目の前で失ってしまったある父親の姿を追って行くのだが、彼の日々の生の中の絶望や悲しみ、憎悪や葛藤が克明に描かれて、同情と憤りを感じずにはいられない。その父親が護衛のためにライフル銃を家に置いた時、彼もテロリストになるのだろうか?と言う考えが頭をよぎる。彼の背景を知り、感情移入すると、それはごく当然のことのように思える。報復の連鎖はこうして続いて行くのだなと思う。
 一方、カメラはサマワの自衛隊宿営地周辺も映し出す。日本政府はこの全く正当性を欠いた戦争を支持し、ついに自衛隊を送り込んでしまったわけだが、そこに映し出された物は、TVでは映らない自衛隊とマスメディアののんきで滑稽な馴れ合いの様子で、ますます派遣自体が「飾り物」に見えてしまった。宿営地の外にいる傷を追ったイラク人たちとの現実のギャップにため息が出るばかりだ。 (★★★☆)カネコマサアキ
 
■関連情報
 
・製作と編集には、森達也監督の『A』や小林貴裕監督の『home』など優れたドキュメンタリー作品をプロデュースしてきた安岡卓治があたっている。

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