原案・製作総指揮・武術指導・主演:ジャッキー・チェン 配給:プレシディオ この『ラスト・ソルジャー』もそんな傾向を感じさせる作品だ。時代は戦国時代の中国。私たちは、いくら国々が争っても、やがて秦にすべての国が飲み込まれてしまうことを知っている。したがって、この映画の中での衛と梁の二つの国の争いも、結果的には無意味だということも。しかし、もちろん登場人物たちはそんなことは知らない。 ジャッキー・チェン扮する名も無き兵士(役名もない)にとって、戦争の大義よりも、生き残って家の血統を絶やさないことのほうが重要だ。彼の兄弟たちはすべて戦争で死んでしまい、家族で生きているのは彼だけだ。一方、武人の将軍は、国家や名誉を重んじてはいるものの、最終的には多くの人々の命を失わせていることに疑問を持たない。 この対照的なふたりの旅が、この映画の主要な骨組みだ。将軍は何とかして兵士から逃げようとする。兵士は生きたまま将軍を連れ帰れば、念願の畑がもらえるので、彼を逃がそうとしない。そこへさまざまな障害が立ちはだかる。山賊と化した農民、謎の女、流浪の民、そして将軍の命を狙う衛の捜索兵。どうやら将軍は、同胞に裏切られて、死ぬ運命にあったようなのだ。逃げて国に戻っても、将軍は死ぬことになるかもしれない。 やがて敵対するふたりに友情らしきものが芽生えてくる。そして、意表をつくラスト。今までのジャッキー映画だったら、こんなラストは用意していなかったはずだ。娯楽映画の枠組みの中での、精いっぱいの反戦メッセージがそこに込められていた。ほろ苦い結末に、ジャッキーのラスト・ランを感じた。(★★★前原利行)
■ラスト・ソルジャー/大兵小将 LITTLE BIG SOLDIER
中国で大ヒットしたジャッキー・チェン主演の時代劇
ラスト・ランに入ったジャッキーの反戦メッセージが込められている
監督・脚本・編集:ディン・シェン
出演:ジャッキー・チェン(『ベスト・キッド』)、ワン・リーホン(『ラスト、コーション』)、ユ・スンジュン
公開:11月13日より渋東シネタワーにて
上映時間:95分
公式HP:www.lastsoldiesr.com
■ストーリー
紀元前、戦後時代の中国。衛の軍が梁に攻め入るが、待ち伏せに遭い、激しい死闘の末に両軍共に全滅する。生き残ったのは死んだふりをしていた梁の兵士(ジャッキー・チェン)と衛の将軍(ワン・リーホン)の2人だけだった。兵士は傷ついた将軍を捕虜にして、自国へ帰ろうとする。農民出身の兵士は、捕虜の報酬として与えられる田畑を望んでいたのだ。戦場で名誉の死を遂げるのが本望という将軍と、どんな手を使っても生き延びるという兵士は、ことごとく対立する。途中、さまざまな障害を乗り越えながら2人は梁へと向かうが、その後を衛の捜索隊が追っていた。しかしその目的は、将軍の救出ではなく、暗殺だった。
■レヴュー
■DVD情報
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