脚本・監督:アクタン・アリム・クバト(『あの娘と自転車に乗って』『旅立ちの汽笛』) 配給:ビターズ・エンド 村の発展のために、大きな風力発電施設を建てようとするベザグット議員候補。そのためには、中国マネーを引き込む必要があった。中国人投資家を接待するときに事件は起こる。明かり屋さんの行動を、大人気ないとか、純情すぎると否定する事は簡単だ。(彼にしたら日本のバブル期の“女体盛り”も言語道断だろう)それは、人間の尊厳を無視した容赦のないグローバル経済に対し、モラルを問いかけている。中国マネーを呼び込めば、もしかしたら景気はよくなり、輝かしい未来が待っているかもしれない。でも従属するのはいやだ。そういうアンビバレンツな感情が、辺境にある島国と同じように現れている。 『あの娘と自転車に乗って』『旅立ちの汽笛』の前二作に比べると、キルギスの政治状況の深刻さが伝わってくる。劇中には2005年のアカエフ大統領を追放した「チューリップ革命」のデモの様子がニュース映像として流れている。ソ連崩壊、独立宣言から20年。いくつかの政変を経て、都市部と農村部の格差は広がり、キルギス共和国はますます混迷を深めているらしい。北野武の若い頃を連想させるアクタン・アリム・クバト監督は、自ら主人公を演じ、その憤りを体を張って表現する。民族帽アック・カルバックを被り、キルギス人の矜持を守れ、と言わんかのようだ。監督自身がこの作品で、ロシア名のアブディカリコフからキルギス名のアリム・クバトに変名したことは、決意めいたものを感じる。
■明りを灯す人/SEVET-AKE

2010年/キルギス=フランス=ドイツ=イタリア=オランダ
出演:アクタン・アリム・クバト、タアライカン・アバソバ、アラスカット・スライマノフ、アサン・アマノフ
上映時間:80分
公開:10月8日(土)、渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/akari/
■ストーリー
キルギスのイシク・クル湖に近い小さな村。一人の電気工は、村人たちに“明かり屋さん”と呼ばれ親しまれている。アンテナの調整や電気の修理など、どんな些細な用事でも自転車で駆けつける。貧しい人には違法にもかかわらず電線をひいてやるという義侠心の強い人物。一方で、ラジオからは政治混乱のニュースが流れている。明かり屋さんの親友マンスールの親類ベグザットが都会からやって来た。彼は国会議員に立候補し、票集めのためにやってきたのだ。穏やかな村に大きな変化が訪れようとしていた。
■レヴュー
(カネコマサアキ★★★☆)
■関連情報
2010年 キノショック映画祭 批評家協会賞、主演男優賞
2010年 ユーラシア映画祭 グランプリ、国際批評家連盟賞
2010年 アミアン国際映画祭 審査員賞
2010 年国際環境映画祭 劇映画グランプリ