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■きつねと私の12か月/Le Renard et L’Enfant


(C)Bonne Pioche Productions-France 3 Cinema-2007
南仏の自然の中で、少女ときつねの交流を通し
少女の成長を描く。ほろ苦い結末にびっくり。

2007年/フランス

監督:リック・ジャケ(『皇帝ペンギン』)
出演:ベルティーユ・ノエル=ブリュノー、イザベル・カレ(『プロヴァンスの恋』『クリクリのいた夏』)

配給:松竹
公開:2009年1月10日、新宿ピカデリー、丸の内ピカデリー、恵比寿ガーデンシネマ他全国ロードショー
上映時間:97分
公式HP:www.kitsune12.jp

 
■ストーリー
 
秋、学校の帰りに道端できつねに出遭った10歳の少女リラは、たちまちその虜になる。冬、リラは雪をかき分け、きつねを探すが、思わぬ事故で足を骨折。家から出られなくなったリラは、部屋の中できつねの本を読み、絵を描き、再び出遭えることを想像する。春が来た。ついにきつねの巣穴を発見したリラ。しかしきつねは子狐を守るために巣穴を移動してしまう。夏、緑濃い山、エサで手なづけることに成功しつつあるリラ。彼女はきつねにテトゥと名をつける。

■レヴュー

監督の前作『皇帝ペンギン』で寝てしまった僕なので、期待せずに試写を観たが、これが予想をいい意味で裏切る「拾い物」の作品だった。子ども向けの甘ったるい話を想像していたのだが、それがまったく逆だったのだ。

登場する人間はほとんど主人公の少女だけ。偶然、出遭ったきつねに「一目惚れ」してしまった少女は、それからきつねの姿を求めて森や山の中に入っていく。オオカミ、クマ、ハリネズミなど、きつね以外にも多くの森の動物たちが、四季の山の風景に登場し、よくこんな映像を撮ったものだと感心する。

物語の中盤、少女が鍾乳洞で迷子になり、やっと外へ出ると夜になっている場面がある。森の中で夜行性動物たちの気配を感じて怖がる少女の描写は、少女の主観を映像化しており、ジャン=ジャック・アノー監督の『小熊物語』風で面白い。

やがて少女はきつねの信頼を得るようになる。この作品が今までの子どもと動物の交流物語と大きく違うのは、そこからだ。自分になついてきたきつねを少女は、いつのまにか自分のペットのように感じる。そしてスカーフを首輪の様に巻き、さらにそこに紐を通して犬のように握る。激しく抵抗して、紐を食いちぎり、森へ逃げていくきつね。

野生の動物を飼いならしたいという欲求は、子どもだけでなく大人にもある。ただ大人は、それが無理であるという諦めと、飼い馴らしてしまったら、それはもう野生動物ではないということを知っているから、そんなことをしないだけだ。しかし少女は、子どもであるだけに自分の欲求に忠実だ。そこに原始の人々が野生動物だった犬を飼い馴らしていった過程まで彷彿させられる。しかし人間に飼い馴らされる動物もいれば、結局それが無理だった動物もいる。本作が「少女ときつねの交流」というファンタジーに終わることがなかったのは、そうした視点が入っているからだ。だから、少女ときつねの関係は、予想に反して悲劇という結末へ向かって走っていく。いや、それはある程度予想がつく展開だったはずだ。僕が驚かされたのは、この映画を「児童映画」と見くびっていたためだろう。

少女ときつねの関係は、人間どうしの関係にも当てはまる。相手に良かれと思ってやっていたことが、実は逆だったかもしれない。それを知るということが、「大人になる」ということなのだ(大人になってもわからない人も大勢いるが)。そんないろいろなことを考えさせてくれる奥深さを、この映画は持っている。(★★★☆前原利行)


■映画の背景

・ロケ地に選ばれたのはフランス南東部のアン県のルトール高原と、イタリア・アブルッツォ地方。

■DVD情報

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