| ■美しき運命の傷跡 |
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L'ENFER / HELL(英題)
2005年/フランス=イタリア=ベルギー=日本
監督:ダニス・タノヴィッチ(『ノーマンズ・ランド』)
原案:クシュトフ・キシェロフスキー(『ふたりのヴェロニカ』『トリコロール』三部作)
出演:エマニュエル・ベアール、カリン・ヴィアール、マリー・ジラン、キャロル・ブーケ
配給:ビターズ・エンド
上映時間:102分
公開:Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマにて公開中 |
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| ■ストーリー |
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| 22年前、ある出来事によって父親を亡くした三人姉妹。成長した姉妹たちは、それぞれ問題を抱えている。長女ソフィは夫の浮気に悩み、次女は恋人のいない孤独な日々を過ごし、三女は歳の離れた大学教授、(しかも友人の父親)との不倫関係にある。そして彼女たちの母親が知る、父親の秘密とは……。 |
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| ■レヴュー |
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率直に言って、恐ろしい映画だった。
「修羅場」というものになるべく避けながら、飄々と生きてきた自分のような人間にとって、まさに3人の姉妹の抱える状況は地獄絵図のように思えた。
ある事件によって父親を失い、幼少期から父親の愛情を得られなかった三人姉妹は、成人して「愛しすぎる女たち」になってしまう。長女は、夫の愛情が離れていくのを必死になって繋ぎ止めようとノタウチまわり、次女は事件の目撃者のためか、男性とうまく関わることができず、恋人を作らない孤独な日々を過ごしている。三女といえば、親友の父親でもある大学教授と不倫関係にあり、まさに父親への愛を求めるかのように、彼への執着心を露にする。
「運命と邂逅」というモチーフを、どちらかと言うと幻想的で、透明感のある映像でとったキシェロフスキー監督の作品群と比べると、『ノーマンズ・ランド』のダニス・タノヴィッチの手によるこの作品は、ゴシック調で、メリハリのある演出、野球に例えるなら、かなり直球勝負的な映画になっている。彼の職人的な演出はハリウッドへ行ってもきっと成功すると思う。そしてキャロル・ブーケ、エマニュエル・ベアールをはじめとする女優たちの鬼気迫る演技に圧倒される。この映画の最大の見所は4人の女優の演技合戦といってもいいくらいだ。
彼女たちのかかえる問題が、一定の決着を迎える中、父親の関与する事件が、「無実」であるということが分かる。彼女たちにとってそのニュースは全てのトラウマを消すものではないが、優しく正義感のある父親のイメージを取り戻すものであったはずだ。そのニュースを手みやげに、長年車椅子の生活を送っている母親の元へ三人姉妹が一同に集まる。「父を告発したのは間違いだったのよ」。娘の話を聞いて、母親は一つも動じずに言う。「私は何も後悔していない」。誤解による呪われた半生。それは彼女の気丈な振る舞いの言葉なのか、それとも母親と父親の間には他にも何か問題が介在するのか?その言葉に、ある種の逞しさを感じつつも、「女の情念」という恐ろしさをますます感じずにはいられなかった。(★★★☆カネコマサアキ)
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| ■関連事項 |
| ポーランドの名匠、キシェロフスキー監督は『トリコロール』シリーズを終えて、引退宣言をしたが、ヨーロッパの若い監督に撮ってってもらおうと脚本の構想を練っていた。ダンテの『神曲』をイメージした『地獄』『煉獄』『天国』の三部作だ。結局、映画化されたのは、彼の死後となり、『天国』(ドイツの新鋭監督トム・テクヴィアによる『ヘヴン』)とこの『地獄』(本作『美しき運命の傷跡』)が既に完成している。 |
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| ■DVD情報 |
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