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■恋に落ちる確率


2003年/デンマーク

公式サイト http://www.koi-kakuritsu.jp
監督:クリストファー・ボー
出演:ニコライ・リー・カス、マリア・ボネヴィー、クリスター・ヘンリクソン
配給:アーティスト・フィルム、ビターズ・エンド
上映時間:92分
公開:12月11日シネセゾン渋谷にてロードショー
 
■ストーリー
 
 かわいい恋人と,友人たちに囲まれ、コペンハーゲンの街で楽しく暮らしているアレックス。ある日、美しい女性と遭遇し、恋に落ちた瞬間から、アレックスの周囲に不可解な変化が起きる。住んでいたアパートの部屋が忽然と消え、旧知の恋人や友人たちは、アレックスのことを今まで会った事がない、初めて会う人物だと言う。一方、運命的な出会いを感じた女性は、実は人妻であった。アレックスは全てを失いつつある中、女との恋を成就できるのだろうか?
 
■レヴュー
 
 つき合っていた恋人と別れた後、交友関係ががらりと変わってしまった、という経験はないだろうか?
 「寂しい」という人もいれば、「せいせいした」「すっきりした」という人もいるだろう。しかしそれは、大げさな言い方をすれば、自分を取り巻いていた 世界が全く別の世界にシフトしてしまったことを意味している。とてつもなく大きな変化なのにもかかわらず、窓の外の変わらぬ風景や、いつもの勤務先の雑 然とした机の上を眺めながら、僕らはかろうじて自分たちの日常が変わってないと認識しているだけのかもしれない。
 だが、その見えないはずの世界の変化が、この映画のように見えてしまうとしたら。例えば、近所のコンビ二に行ったら、そこがアラブのスークだったら……それはそれで、ちょっと恐ろしいものだ。
 この映画の主人公の場合、見知らぬ女と恋に落ちた後、自分の存在が全く失われてしまった日常世界に投げ出されてしまう。旧知の友人は彼のことを、知 らない人だ、といい、アパートの最上階にあった自分の部屋も消失している。都会の希薄な人間関係のなかで、それは十分起こり得そうな話だけに、リアルな 恐怖感がある。
 カフカの作品を発掘したのは、サルトルやカミュなどの実存主義の作家たちだった。自己の存在の「不確かさ」や「不安」というテーマは彼らの得意として きたものだが、この映画もまさにその系譜にあると思う。
 邦題タイトルからすると、軽いコメディタッチのラブストーリを想像してしまうかもしれないが、実際はシリアスで、謎めいていて、心理的サスペンスの様 相を呈している。原題は”reconstruction" 。訳すと、<再構築>といった感じだろうか。男と女。女とその夫である作家。主人公の視点、小説を書く作家の視点が入り交じり、三角関係の物語はパズル のように<再構築>される。その<再構築>の手法は人間本来が持っている「孤独」を浮き彫りにしていくための仕掛けだ。
 ゴダールに影響を受けたという新人監督らしく、美しいコペンハーゲンの街並とスタイリッシュな映像は素直にカッコイイ。
(★★★☆カネコマサアキ)


 2003年のカンヌ国際映画祭で注目を浴びた、デンマークの新進監督クリストファー・ボーの長篇デビュー作。ホントはアート系映画でなので、タイトルで損をしてる。これじゃ何だかメグ・ライアンが出てくるようなラブ・コメな邦題だが、この映画を喜んで見るのはきっとデビッド・リンチやラース・フォン・トリアーのファン。主人公を次から次から襲う不可解な出来事。その謎解きを楽しむ作品かと思ったら、ストーリーは直線的には進まなし、最後はリンチの『ロスト・ハイウェイ』のように思いきりはぐらかされた。
 まあ、開巻早々、まずこれは「映画」であることが告げられていたし。宣伝コピーも「ぼくのアタマはおかしくなっている」がいいかも。しかし単なる「ヘンな」映画じゃなく、立派な恋愛映画でもあり、強い感情も呼び起こしてくれる。変わった映画が好きな人にはおすすめだ。僕? 僕は十分楽しめた。
(★★★☆前原利行)
 
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