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■キッズ・オールライト/The Kids Are Alright


ほろ苦いユーモアを交えながら
「家族とは何か」と考えさせてくれる秀作

2010年/アメリカ

監督:リサ・チョロデンコ(『ハイ・アート』『しあわせの法則』)
出演:アネット・ベニング(『アメリカン・ビューティー』『グリフターズ/詐欺師たち』)、ジュリアン・ムーア(『ブギー・ナイツ』『ことの終わり』)、マーク・ラファロ(『楽園をください』)、ミア・ワシコウスカ(『アリス・イン・ワンダーランド』)

配給:ショウゲート
公開:渋谷シネクイント、TOHOシネマズシャンテほかにて公開中
上映時間:107分
公式HP:allright-movie.com/

 
■ストーリー
 
ニックとジュールスという“ふたりのママ”と大学進学が決まった娘のジョニ、15歳の弟レイザーの4人の家族は、よそから見ればちょっとヘンかもしれないが、愛に満ちたふつうの家族だ。子どもたちも成長し、そろそろ親離れの季節。ジョニは大学へ行くため、家族で過ごす最後の夏かもしれないし、弟のレイザーは18歳になり出生の秘密を知ることができるようになったジョニに、父親探しを持ちかける。精子提供者で遺伝子上の父親”ポールは、意外にも同じ街に住む人気レストランのオーナーで気楽な独身生活を送っていた。子どもたちは自分の親にない魅力をポールに感じ、彼になついていく。しかしそのことを知ったニックとジュールスは動揺。ポールを家に招いて食事会を開く…。
 
■レヴュー
 
成長期を迎え、子どもたちは親離れを模索し、親たちは子どもたちの変化に戸惑い、そこから自分たちの関係も見つめ直していく。タイトルからはThe Whoの名曲を連想させるが(日本タイトルからはなぜかAreが抜け落ちている)、親たち、大人たちの狼狽ぶりをよそに、子どもたちは成長していくということなのだろう。

“ふたりのママ”“遺伝子上のパパ”と言う風変わりな設定ながら、そこで語られることは、実はどの家庭にも共通することだ。脚本、演出、そして俳優たちのアンサンブルはどれも充実しており、とくに最初は“受け”に回るキャラを演じていたアネット・ベニングが、後半見せる感情表現はすばらしい。名優だ。

突然現れた“父親”ポールも、キャラクター化されにくい複雑な表情を見せる人物。彼なりに家族の一員になろうとするが、それが結果的に、今までの家族の絆を壊してしまい、善意が人を傷つけてしまうというやるせなさを体現。僕としては、彼の“その後”が非常に気になるが、映画はそこには深追いせず、あくまで4人家族を追う。

ユーモアとしっとりが最高にブレンドされた大人の映画で、こういうのはアメリカ映画ならでは。『イカとクジラ』、『グッド・ミス・サンシャイン』などの作品が好きな人なら、絶対に気に入る秀作だ。(★★★★前原利行)

 
■映画の背景
 
余談だが、ロック好きには面白かったシーンがある。ポールの家に行った4人家族。それまで唯一、ポールに打ち解けなかったニックだが、彼のレコードボックスの中から、あるレコードを発見して、急に親近感を抱く。それがジョニ・ミッチェルの『ブルー』(名盤)。

ニック曰く、「ストレートの男の人でジョニを聴く人に初めて会った」。

アメリカでは、ジョニってゲイ、レズビアン・カルチャーに支持されているんだろうか。映画でよくクリシェのようにして使われるバーブラ・ストレイサンドは有名だが、ジョニがそうだとは知らなかった。

 
■DVD情報
 
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