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■イップ・マン 葉問/Ip Man 葉問

ブルース・リーが師事したという伝説の男イップ・マン
その若き日を描くアクションだが“愛国”映画にもなっている

2010年/香港

監督:ウィルソン・イップ(『SPL/狼よ静かに死ね』『スパイチーム』)
アクション監督:サモ・ハン・キンポー
出演:ドニー・イェン(『HERO』『シャンハイ・ナイト』)、サモ・ハン・キンポー(『燃えよデブゴン』『SPL/狼よ静かに死ね』)、ホァン・シャオミン(『女帝エンペラー』)

配給:フェイス・トゥ・トェイス、リベロ
公開:1月22日より新宿武蔵野館にて
上映時間:109分
公式HP:ip-man-movie.com

 
■ストーリー
 
1950年、イギリスが統治する香港へ、イップ・マン(ドニー・イェン)が家族と共に移住してくる。同郷の編集長リャンの好意で、屋上に詠春拳の武館を開くイップのもとに、彼の強さを知った若者ウォンが仲間を連れて入門してくる。香港には多くの門派の武館があった。それを仕切る洪拳の師範ホン(サモ・ハン・キンポー)の弟子とトラブルを起こして捕らえられたウォンを救うため、イップはホンと対立することに。やがて、ホンは中国拳法の名誉を守るために、イギリス人ボクサーと対決し、死を迎える。イップと対立していたホンだが、その死はイップの中国武術家としての誇りに火をつけた。闘いのリングへイップは向かう。
 
■レヴュー
 
冒頭、タイトルバックに、日本が侵略している時代の中国を背景にしたイップ・マンの物語が、「先週までのあらすじ」のように紹介される。ここで初めて知ったのだが、本作は香港や中国で大ヒットした2009年作品『イップ・マン序章』の続編なのであった。ああ、そっちも見たいな。

前作が多分青春編なら、本作は妻も子供もおり、妻のお腹には第2子が宿っている、責任ある大人の話だ。香港にやってきたイップは、まず家族を養うために働かなくてはならない。いくら武芸の達人でも、それだけでは生きてはいけないのだ。ましてイップは用心棒でもなければ、商売人でもない。武芸以外は商売下手の、どちらかといえば生活力がない人なのである。武館を開いても、弟子になるのはお金のない若者たち。妻には文句を言われても、授業料の催促もできない。

そんなイップが輝くのは、やはり闘う時だ。相手は『SPL/狼よ静かに死ね』でも共演した、元デブゴンのサモ・ハン・キンポー。香港の武館を束ねるボスだが、彼とて決して大金持ちというわけではない。武館以外にも、魚の卸しをしているし、集めたお金も町を仕切る香港警察のイギリス人署長に上納しなければならない。

前半の大きい見せ場になるのが、イップが各門派たちの挑戦を受けることになる円卓での勝負。時間内に円卓から落ちなければ、武館を開くことが認められるのだ。敵なしのイップにホンが挑み、対決するシーンは大きな山場。そして後半の大きな見せ場が、ホンを殴り殺した卑劣なイギリス人ボクサーとの対決だ。

とにかくこのボクサーは、観客に100%反感を買うような嫌な奴になっている。中国人をバカにして侮蔑しまくる人種差別主義者で、残忍で品がない。映画の後半は、中国人としての名誉を守るための闘いという“愛国映画”になっていく。イギリス人に牛耳られ、屈辱的なこともあった当時の香港では、きっと力道山が白人レスラーをやっつけ、うっぷんを晴らしていた日本人のようだったのだろう。しかし、あえてそれをいま映画でやり、大ヒットするということは、現在の中国人も西欧社会にうっぷんが溜まっている状態なんだろう。そういえば、大ヒットしたという前作は、日本が中国に侵略する時代だし、きっと極悪な日本人がやっつけられて、観客席は拍手喝采なのだろうか。うーん、「愛国無罪」…。(★★★前原利行)

 
■映画の背景
 
肝心のブルース・リー情報を書くのを忘れてしまったが、映画のエンディングにリー少年登場のシーンあり。やっぱり、これがなくっちゃね。しかし、リーの物真似はやりすぎ? 笑いはとれたが。
 
■DVD情報
 
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