2007年/アメリカ 監督・脚本:ショーン・ペン(『インディアン・ランナー』『クロッシング・ガード』『プレッジ』) 配給:スタイル・ジャム 主人公で実在した人物、クリストファー・マッカンドレスは自分と同年代だった。旅の行程もスタイルも全く違うけれど、やはり親近感が湧く。ボタン一つの掛け違いで、自分も彼のような結末を迎えていたのかもしれないと思うと複雑な気持ちになった。旅とは?人生とは?いろいろ考えさせられる映画だった。 逃避といってしまえば簡単だが、それはむしろ衝動に近いものだったのだろうと思う。欺瞞だらけの両親、学歴、お金、文明の利器とよばれる品々、自分の名前、アイデンティティまで・・・・クリスは全てを投げ捨てながら、一方でそれを楽しんでいる。それは自虐的なゲームのように見えるが、どれだけ金を使わずに旅行できるかを競う貧乏旅行にも似ている。そのゲームをクリアして行く中で、若さゆえの過信が生じる。ソローの『森の生活』のような、自然とともに生きる生活に憧れていたクリスは、ついにアラスカの荒野へ乗り込み、究極の「自由」を獲得する。だが、同時に思わぬ「怪物」とつきあわなければならなかった。その辺がとても哲学的で、考えさせられる。 印象的なのは、彼の転末というよりは、北米大陸の大自然とともに鮮やかに描かれる旅の風景だ。トラブルを克服し有頂天になったり、まじめに働くサラリーマンに出会い後ろめたい気分になったり、淡い恋心を抱いたままどうすることもできない様を観ると、こちらも忘れていた旅の出来事やそのときの感情が蘇って来る。また、それ以上に琴線に触れるのは、彼が旅先で出会う人々の親切と温かいまなざしだ。ハル・ホルブルック演じる孤独な老人とのシーンは涙をこらえるのがやっとだった。自分もたくさんの人に見守られて旅をしていたのだ、と改めて気づかされる。 かつてバックパッカーだった人も、これから出かけようと思っている人も、是非観てほしい作品だ。(カネコマサアキ★★★★) 1992年の夏、アラスカ州の荒野でクリストファー・マッカンドレスという若者の死体が発見された。東海岸の裕福な家庭で育ち、優秀な成績で大学を卒業し、エリートコースを約束されていた若者の謎めいた死は全米の関心を集めた。この事件を、ジャーナリストで登山家のジョン・クラカワーが追跡取材し発表したのが「荒野へ」(集英社刊)というノンフィクション・ノベルだ。
■イントゥ・ザ・ワイルド/Into the wild

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裕福な家庭に育った優等生のクリスは、アラスカの荒野へ旅立った。
ショーン・ペンが10年の歳月をかけて映画化権を獲得したノンフィクション小説、奇跡の映画化。
出演:エミール・ハーシュ、ハル・ホルブルック、キャサリン・キーナー、ウイリアム・ハート
上映時間:148分
公開:9月6日(土)、シャンテ・シネ、テアトル・タイムズスクエアほかにて全国ロードショー
公式サイト:http://intothewild.jp/top.html
■ストーリー
1990年、夏。ジョージア州アトランタのエモリー大学を優秀な成績で卒業したクリスは、将来を嘱望された22歳の若者だった。卒業祝いとして両親から新車を買ってやると言われるが、「何も欲しくない」と断り、持っていた貯金を全て慈善団体に寄付した後、誰にも知られる事なく失踪する。アリゾナで鉄砲水にあったクリスは愛車のダットサンを惜しげもなく乗り捨て、“アレグサンダー・スーパートランプ”という別名を名乗る事にする。彼が全てを捨て去り、アラスカの荒野に向かったのはなぜか・・・?
■レヴュー
■関連情報
2008年ゴールデン・グローブ賞 主題歌賞受賞
2008年アカデミー賞ノミネート 助演男優賞(ハル・ホルブルック)編集賞
監督のショーン・ペンはこの本を読み、映画化を決意。その映画化権を獲得するのに10年の歳月をかけたそうだ。
■DVD情報
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