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■インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実Inside Job


アメリカで起きた金融危機の裏側を明かす
第83回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門受賞作品

2010年/アメリカ

監督:チャールズ・ファーガソン
ナレーション:マット・デイモン

配給:ソニーピクチャーズ エンタテインメント
公開:5月21日より新宿ピカデリーほかにて公開
上映時間:108分
公式HP:insidejob.jp

 
■レヴュー
 
“グリード(強欲)”という言葉がある。このドキュメンタリーを観ていて、僕はその言葉を思い出した。飽くなき金銭欲が、すべてを食い尽くす。その怪物は、0.1%にも満たない金持ち。食い尽くされるのは、残りの人々だ。

2008年に起きたリーマン・ブラザーズ社破綻。なぜそれがきっかけになり、世界同時不況が起きたのか。ニュースや新聞を見たり読んだりしているのに、なかなか頭に入ってこないこの問題を、わかりやすく解説し、なおかつインパクトを与えてくれるドキュメンタリーが本作だ。

アメリカでは1930年代の大恐慌を教訓に、長い間金融業界には規制がかけられていた。しかし1980年代のレーガン政権時代になると、それまでの規制は撤廃されていき、投資や利益の追求に歯止めが利かなくなっていく。企業の役員や顧問が政治家を動かし、自分たちに都合のいいようにどんどん法律を改正。ハイリスク、ハイリターンを求めた結果、住宅ローンはとうとう国家規模のネズミ講にまで発展する。住宅バブルの崩壊は、最初からわかっていたことなのだ。

この金融危機に関わった多くの人々へのインタビューから浮かび上がってくるのは、金融界、政界、経済学界がグルになって、大っぴらに行った犯罪が、“サブプライム・ローン問題”や“リーマンショック”だ。「インサイド・ジョブ」とは仲間内の犯行のこと。しかし、ふつうの犯罪と違ってこの犯罪は誰も罪には問われない。一般庶民たちは家も仕事も失うが、しかし会社には税金が投入され、犯人たちの懐は痛まない。インタビューに応じた“戦犯”たちの多くは、まったく悪びれていないばかりか、いまだに高給を取り続けている。こんな人間たちが処罰されずに大手を振っている一方、家を失い、借金返済のために泥のように働き続ける人々がいる。そのことを思うと、最高に気分が悪い。たぶんこの映画を観て、ウォール街の重役連中に怒りがこみ上げてこない人はいないだろうな。(★★★前原利行)

 
■DVD情報
 
インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実 [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2012-01-25)
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