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■ハンティング・パーティ/The Hunting Party


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ボスニアで起きた戦争犯罪人を追うジャーナリスト、ギア
戦犯のモデルはドキュメンタリー『カルラのリスト』でも追求されていたカラジッチだった

2007年/アメリカ

監督・脚本:リチャード・シェパード
出演:リチャード・ギア(『シカゴ』『プリティ・ウーマン』)、テレンス・ハワード(『ブレイブ・ワン』『クラッシュ』)、ジェシー・アイゼンバーグ(『イカとクジラ』)、ダイアン・クルーガー(『トロイ』)

配給:エイベックス・エンタテインメント
公開:5月10日よりシャンテシネ、新宿武蔵野館、ワーナーマイカルシネマズ他、全国拡大公開
上映時間:103分

公式HP:www.huntingparty.jp

 
■ストーリー
 
かつて紛争地域から、伝説的なレポートを送り届けていたジャーナリストのサイモンとカメラマンのダック。しかしある事件がもとでサイモンは仕事をクビになる。一方、本国に戻ったダックは出世コースに。その二人が数年ぶりにボスニアのサラエボで再会した。「大きなネタ」を持っているとダックに告げるサイモン。それは虐殺事件の首謀者で指名手配を受けていながら、国連にもCIAにも捕らえられない戦争犯罪人フォックスの情報だった。半信半疑ながらダックはサイモンの求めに応じ、フォックスを求めて危険地帯へと足を踏み入れる。
 
■レヴュー
 
正直言って映画の出来はふつうだが、こうして実際に起きた事件をもとに、勧善懲悪のエンタテインメントとしてはソツない社会派エンタテインメントをポンポンと作ってしまうアメリカはすごいというか単純というか。後味いいエンディングだが、これは映画ならではで現実はかなり違う。

1990年代に深刻な内戦を引き起こし、多くの死者を出したボスニア紛争。その中で国際的にも大きな問題になったのがイスラム教徒へのジェノサイドだ。八千人が殺害された「スレブレニツァの虐殺」はその典型的な事件だ。虐殺の首謀者カラジッチは国際法廷で有罪判決を受けたが、いまだに捕まっていない。本作はそのカラジッチをモデルにしたフォックスという男を(そっくりな俳優が演じている)、スクープを狙うジャーナリストたちが追う話だ。シリアスな問題を提起しながらも、「冒険もの」の路線からそう逸脱することはないのが、物足りないといえば物足りない。しかし主人公をリチャード・ギアというスター俳優にし、明快なエンタテインメントにでもしなければ、こうした企画が通ることもないだろう。また虐殺事件が「本当にあったこと」と知る人も少なかったと思えば、仕方がないのかもしれない。

昨年末、カラジッチらユーゴの戦犯を国際法廷が追うドキュメンタリー『カルラのリスト』が日本でも公開され、本欄でも紹介したが、現実(ドキュメンタリー)は本作と異なり歯切れが悪い。映画のクライマックスである「犯人逮捕」に至らず、映画としては盛り下がってしまったからだ。現実ではカラジッチはシンパの助けを受けて、多分のうのうと生きている。せめて映画では罪に値する報いを受けさせて、スカッとしたいという姿勢は間違っていないのだろうが、現実を知っていると、やはり違和感は残る。(★★☆前原利行)

 
■映画の背景
 
・「スレブレニツァの虐殺」…1995年7月に当時四万人ほどが住んでいたスレブレニツァに侵攻したセルビア人勢力により、約8000人のムスリム人が虐殺された事件。当時、国連保護軍のオランダ部隊400人が派遣されていたが、何もすることができずに虐殺を見逃した。この事件をはじめ、ムスリム人やクロアチア人への虐殺や民族浄化を指導していたのがセルビア人のカラジッチで、現在も「旧ユーゴ国際刑事裁判所」に起訴されて戦争犯罪人として追われている。懸賞金は500万ドルだが、逮捕されないのはセルビア人の間では彼を英雄視する向きもあり、支援するネットワークがあるからだという。また本作でも触れているように、アメリカ政府と裏取引をしているために捕まらないという噂も絶えない。

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