キム・ギヨンの『下女』(1960)のリメイクで話題の作品。オリジナルの要素を大胆かつ現代的にアレンジしており、最初、こんな話だっけ?と首を傾げるも、観た事のある人はそのうち自ずとニヤリとしてしまうはず。例えば、オリジナルの舞台はピアノ教師の新築された家という設定だったが、今回はとある会社の御曹司の豪邸が舞台で、御曹司はピアノを弾くのが得意という設定だったりする。また、オリジナルにはなかった登場人物も創設されている。
目を見張るのはこの映画のために建てられたという豪邸と、そこに置かれた豪華な調度品。現代の大富豪とはこんな感じなのかあ、と思わせる。劇中にはワインを呑むシーンが多く、それにエロティックなシーンが絡んでくる。下女はそれを安酒のように粗雑に呑むが、上流階級の連中は呑み慣れているのである。リメイクで決定的に違うのはチョン・ドヨン演じる下女のキャラクター。オリジナルの下女はつかみ所の無い恐ろしい存在として描かれていたが、今回は親しみやすく、ちょっととぼけた感じのキャラクターになっており、観客が感情移入するのはこちら側。むしろ、上流家庭一家に隔絶感を持たせて、現代韓国が抱える経済格差への強い批判を込めている。その意味でも、衝撃的なラストより、むしろ下女の反撃・復讐をもっと観せてくれた方が、日頃の憂さ晴らしになったかも。(カネコマサアキ★★★)