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■ようこそ、アムステルダム国立美術館へ/Het Nieuwe Riijksmuseum


オランダが誇る美術館の改装工事が始まるが、問題が続出
工事は進まず、映画は意外な方向へ

2008年/オランダ

監督:ウケ・ホーヘンダイク

配給:ユーロスペース
公開:8月21日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
上映時間:117分
公式HP:www.ams-museum.com

 
■ストーリー
 
2004年、アムステルダム国立美術館の大規模な改装工事が始まった。レンブラントの「夜警」やフェルメールの「牛乳を注ぐ女」などを有するオランダ随一の美術館だ。2008年にオープンの新美術館に意気揚々の館長だが、地元のサイクリスト協会が反発。新プランでは美術館を貫く交通路が自転車が通れないと抗議。建築家によるプランが却下。その後も政府や自治体の許可待ちで、工事は何度も中断。各方面からの横槍に対しての妥協が続き、関係者たちは次第に熱意を失っていく。工事再開のメドが立たずに、廃墟のようになっていく美術館。はたして美術館はいつ完成するのだろうか。
 
■レヴュー
 
ドキュメンタリーでは、撮影が始まった時に想定していた着地点にたどり着けずに、途中から違う方向に向かってしまうことがよくある。スポーツチームなら優勝で終わるのが理想の展開なのだろうが、1次リーグで敗退してしまうこともあるし、バンドのドキュメンタリーなら、撮影中に「解散」ということもあるだろう。本作でも、当初のラストは「新美術館の完成」と考えており、そのつもりで撮影、公開も決めていたはずだ。

ところが工事は予定通りにすすまない。サイクリスト協会は、美術館中央の通路の新プランにクレームをつける。自転車の通行スペースが狭すぎるというのだ。国土の大半が平地のため、自転車人口が多いオランダならではのクレームだ。しかしあきらかに権利の主張し過ぎだ。そのあとも、何かにつけ反対する人が出てきて、物事はなかなかすすまない。何度も妥協を迫られて、プランを変更しなければならない建築家は頭を抱え、「これは民主主義の悪用だ」と言い放つ。

ふだんはそのことについて考えていない人がしゃしゃり出てきて、クレームを言ってその意見が通る。そんなことが何度も行われているうちに、「改装工事」に全身全霊をかけている人の「やる気」がどんどん無くなっていくのが、映像を通して実によくわかる。私たちの身の回りにも、同じようなことはよくあるだろう。こうして、プロジェクトに関わっていた人のうちの何人かは辞めていく。

無駄に数年が過ぎ、新装オープンは5年も延びてしまうが(その5年間に出て行く経費もかなりのものだと思うが)、どの立場の人も簡単に妥協せず、みな「自分のペース」を持って動いているところが、我々日本人には少しうらやましくもなる。日本では美術館の改装工事があっても、誰も意見なさそうだ。(★★★前原利行)

 
■関連情報
 
中断などで再オープンは今のところ2013年の予定。そのため、膨大なコレクションのうち、現地で現在公開されているのはわずか400点あまり。残りの作品は、収蔵庫で眠るか、日本などの世界各地を巡回している。

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