2008年/オランダ 監督:ウケ・ホーヘンダイク 配給:ユーロスペース ところが工事は予定通りにすすまない。サイクリスト協会は、美術館中央の通路の新プランにクレームをつける。自転車の通行スペースが狭すぎるというのだ。国土の大半が平地のため、自転車人口が多いオランダならではのクレームだ。しかしあきらかに権利の主張し過ぎだ。そのあとも、何かにつけ反対する人が出てきて、物事はなかなかすすまない。何度も妥協を迫られて、プランを変更しなければならない建築家は頭を抱え、「これは民主主義の悪用だ」と言い放つ。 ふだんはそのことについて考えていない人がしゃしゃり出てきて、クレームを言ってその意見が通る。そんなことが何度も行われているうちに、「改装工事」に全身全霊をかけている人の「やる気」がどんどん無くなっていくのが、映像を通して実によくわかる。私たちの身の回りにも、同じようなことはよくあるだろう。こうして、プロジェクトに関わっていた人のうちの何人かは辞めていく。 無駄に数年が過ぎ、新装オープンは5年も延びてしまうが(その5年間に出て行く経費もかなりのものだと思うが)、どの立場の人も簡単に妥協せず、みな「自分のペース」を持って動いているところが、我々日本人には少しうらやましくもなる。日本では美術館の改装工事があっても、誰も意見なさそうだ。(★★★前原利行)
■ようこそ、アムステルダム国立美術館へ/Het Nieuwe Riijksmuseum

オランダが誇る美術館の改装工事が始まるが、問題が続出
工事は進まず、映画は意外な方向へ
公開:8月21日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
上映時間:117分
公式HP:www.ams-museum.com
■ストーリー
2004年、アムステルダム国立美術館の大規模な改装工事が始まった。レンブラントの「夜警」やフェルメールの「牛乳を注ぐ女」などを有するオランダ随一の美術館だ。2008年にオープンの新美術館に意気揚々の館長だが、地元のサイクリスト協会が反発。新プランでは美術館を貫く交通路が自転車が通れないと抗議。建築家によるプランが却下。その後も政府や自治体の許可待ちで、工事は何度も中断。各方面からの横槍に対しての妥協が続き、関係者たちは次第に熱意を失っていく。工事再開のメドが立たずに、廃墟のようになっていく美術館。はたして美術館はいつ完成するのだろうか。
■レヴュー
■関連情報
中断などで再オープンは今のところ2013年の予定。そのため、膨大なコレクションのうち、現地で現在公開されているのはわずか400点あまり。残りの作品は、収蔵庫で眠るか、日本などの世界各地を巡回している。