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■グエムル 漢江の怪物

2006年/韓国

監督:ポン・ジュノ(『ほえる犬は噛まない』『殺人の追憶』)
出演:ソン・ガンホ(『殺人の追憶』『JSA』『シュリ』)、パク・ヘイル(『殺人の追憶』『菊花の香り』)、ペ・ドゥナ(『ほえる犬は噛まない』『リンダ リンダ リンダ』)、ピョン・ヒボン

配給:角川ヘラルド映画
上映時間:120分
公開:9月2日よりスバル座ほかにて全国拡大

 
■ストーリー
 
 ソウル市内を流れる漢江のほとりで、売店を営む一家がいた。家長ヒボンの長男カンドゥは、いい大人なのに店番すら頼りにならない。しかし娘のヒョンソを愛する気持ちは人一倍強かった。次男のナミルは大卒だが、今は酒に身を持ち崩している。長女のナムジェはアーチェリー選手として活躍しているが、ここ一番という時に実力を発揮できない。そんな一家に事件が起きた。行楽客でにぎわうのどかな午後、漢江の土手に怪物が現れ、あっという間に人々を襲って喰い始めたのだ。そしてカンドゥの目の前で、娘のヒョンソが怪物にさらわれてしまう。その夜、一本の電話がカンドゥンにかかってきた。「おとうさん、助けて…」。
 
■レビュー
 
 韓国のポン・ジュノ監督の作品に外れはない。『ほえる犬は噛まない』『殺人の追憶』の2本に続き、長編3作目となるこの新作も、期待を裏切らない出来ばえになっていた。都会のド真ん中に「怪物」が現れ、人々を恐怖に陥れる。平和な土手が、一瞬にして地獄絵図と化してしまう冒頭のシーンは、悪い白昼夢を見たようで呆然としてしまった。ここだけでも何度でも見たくなる。

 ここに出てくる怪物「グエムル」は、ゴジラのような巨大怪獣ではなく、ゾウや恐竜ほどの大きさのモンスターで、動きは素早い。そしてそれに立ち向かうのは、社会から落ちこぼれたような一家だ。家族に甘い家長ピョン・ヒボン、ダメ親父のソン・ガンホ、学生運動崩れのパク・ヘイル、ここぞという場面に弱いアーチェリー選手のペ・ドゥナ、といった面々。この手の映画に必要な、軍隊や科学者、TVレポーターも出てくるが、それらはあくまで脇役。この映画は、家族をさらった怪物とパク一家の対決の話なのだ。なので物語の視点も、ほぼ彼らの目を通して語られる。

 ポン・ジュノ作品の特徴に、「シリアスとユーモアの不思議なブレンド」があるが、これは残酷なシーンについギャグを入れてしまうスピルバーグ作品にも通じる、独特の持ち味。本作でもそれが生かされている。しかし怖いシーンは、ホラー映画なみに怖かった。また、韓国の実力派たちの俳優の演技もいい。やはりソン・ガンホはすばらしい俳優だ。(★★★☆前原利行)

 
■関連情報
 
 ポン・ジュノ監督はインタビューで、この作品を作る時にイメージした映画に、ナイト・シャマラン監督の『サイン』をあげている。『サイン』の出来映えはともかく、「宇宙人による地球侵略」というスペクタクルを、田舎の一軒家という限定された空間、しかもあくまで一家族の視点で描いたところに新味があった。スピルバーグの『宇宙戦争』もこの流れにあるかもしれない。大勢の人々を巻き込むような大災害を上から俯瞰するのではなく、個々の視点から描いた方が、よりリアリティが増すという発想だ。
 
■DVD情報
 
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