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■落下の王国/The Fall


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入院中の男が少女に語る物語は世界をめぐり、旅好きにはたまらない
やや物足りない話を、世界各地のすばらしい映像が救っている

2006年/アメリカ

監督・脚本:ターセム(『ザ・セル』)
出演:カティンカ・アンタルー、リー・ペイス

配給:ムービー・アイ・エンタテインメント
公開:9月6日より、シネスイッチ銀座、新宿バルト9、渋谷アミューズCQNほか
上映時間:118分
公式HP:www.rakka-movie.com

 
■レビュー
 
1915年のロサンゼルス。5歳の少女アレクサンドリアは、オレンジ収穫の際に誤って木から落ち、腕を折って病院に入院していた。そこでアレクサンドリアは、足を折って入院中のスタントマンのロイと出会う。しかし、ロイは失恋から自暴自棄になっていた。ロイは動けない自分に代わり、薬剤室から自殺するための薬を持ち出させようと、アレクサンドリアに思いつきの冒険物語を聞かせる。

孤島に幽閉されている5人の勇者たち。彼らに共通するのは、彼らを陥れた総督への復讐心だ。海を泳ぐゾウに乗り、島を脱出した5人は、老木の中から現れた霊者を味方とする。6人になった勇士たちは、途中、奴隷を解放し、総督の城へと向かう…。

話の続きが聞きたいアレクサンドリアは、ロイの言うことを聞くようになる…。

 
■レビュー
 
恋人に振られ、ケガもし、自暴自棄になっているスタントマンが、自殺するために少女を利用して薬を手に入れようとする。そのために、彼は勇者たちが登場する冒険物語を少女に聞かせる。映画では現実の世界のできごとと、話の中の世界のふたつが交互に出てくるが、色彩に乏しい現実に比べ、空想の中の世界は色鮮やかで、まるで絵本の中の世界のようだ。現実の世界がみじめで、「死」に満ちているほど、空想の世界は輝いてみえるのだが、それは現実逃避でもある。その自覚がない少女にとっては楽しい話だが、語り部の青年にとっては「果たせなかった夢」を話すことでもある。やがて青年は、空想の世界にも「死」を持ち込み、話を終わらそうとする。

ターセムはCGIに頼らず、実際にある世界のすばらしい風景を物語に取り入れることで、現実離れをした物語をつむぎだした。その風景や建築物の多くは、旅好きな人でなければ、セットやCGかと思うかもしれない。ロケは世界各地に及んでいるが、とりわけターセム監督の出身地であるインドのものが魅力的だ。悪玉が住んでいるのはブルーシティの城だし、中世の城での戦いも出てくる。問題は、映像はすばらしいのだが、ストーリーテリングが弱いこと。ターセムの前作で初監督作だった『ザ・セル』も、ストーリーよりも映像ばかり印象に残っていた。とは言え、画面を見ているだけで刺激になることは確かだ。石岡瑛子の衣装もすばらしい。旅好き(とくにインド)同志で集まって、どれだけロケ地がわかるかを競い合いたくなるような作品だ。そしてきっとその場所へ行ってみたくなるだろう。(★★☆前原利行)

 
■関連情報
 
・監督のターセムは、インドのパンジャブ出身のインド人。24歳でアメリカに渡り、CFやミュージックビデオの監督として活躍する。2000年にジェニファー・ロペス主演のサスペンス『ザ・セル』で映画監督デビュー。
 
■映画の背景
 
解説を見なくてもロケ地がわかれば、かなりの旅行通だ。僕が自分でわかったのは、

・インド…タージ・マハル、ファテープル・スィークリー(勇者の一人が爆死)、ジョードプルの旧市街とメヘランガール砦(最後の戦い)、ウメイド・バワン・ホテル(総督の住居)、ジャイプルのシティ・パレス、ウダイプルのレイクパレス(勇者たちが休息を取る)、ラダック地方

・バリ島…ケチャのシーンで棚田が見える

・トルコ…メヴラーナ教団の回転舞踏が出てくる。場所までは特定できず。

 
■DVD情報
 
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