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■永遠の語らい Um Filme Falado

2003年/ポルトガル、フランス、イタリア

監督:マノエル・ド・オリヴェイラ(『アブラハム渓谷』『家路』)
出演:レオノール・シルヴェイラ(『家路』『家宝』)、カトリーヌ・ドヌーヴ(『インドシナ』『8人の女たち』)、ステファニア・サンドレッリ(『暗殺の森』『アルフレード・アルフレード』)、イレーネ・パパス(『エレクトラ』『トロイアの女』)、ジョン・マルコヴィッチ(『シェルタリング・スカイ』『マルコヴィッチの穴』)
  
配給:アルシネテラン、キノキネマ www.alcine-terran.com
上映時間:95分
公開:4月下旬、シャンテシネにて


 
■ストーリー
 
 ボンベイにいるパイロットの夫とバカンスを過ごすために、大学で歴史を教えているローザとその幼い娘マリアは、リスボンから客船に乗り、地中海を行く船旅を始める。マルセイユ、ナポリ、アテネ、イスタンブール、カイロ。ヨーロッパ文明の源流をたどり、古代文明の名残りを訪れる2人。アメリカ人の船長のテーブルらは、フランス語、イタリア語、ギリシア語が飛び交うが、それぞれの国の言葉で話しても相手の言うことが理解できている。船はスエズ運河を抜け、アデンを経由し、アラビア海へと向かうが…。
 
■レビュー
 
西欧文明の危機を描く

 これは9.11以降を語る文明論の映画である。旅行人読者なら、旅行で培ってきた知識が試される映画とも言えるかもしれない。この作品にはドラマチックなストーリーはなく、さまざまな「象徴」が込められており、それを読み取る教養が必要かもしれない。
 しかしそう深く考えないでも、マルセイユ、ポンペイの遺跡、パルテノン神殿、ギザのピラミッドなどの遺跡を訪れ、娘の質問に答える歴史学者の母親の解説は(ピラミッドの説明はまちがっているが)タメになるし、様々な言語の乗客がテーブルを囲んでコミュニケーションをとり、親しくなっていく旅の雰囲気は、自分もその仲間になって参加しているような心地よさがある。
 ただ、リスボンを船出してボンベイへ向かう母娘の旅は、ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路の発見(西洋文明がイスラム文明の壁を通り越して直接アジアの文明に触れた)になぞらえられていることに気づけば、よりこの映画を理解できるだろう。アメリカ人の船長のテーブルの席に着くのはカトリーヌ・ドヌーヴ(フランス)、ステファニア・サンドレッリ(イタリア)、イレーネ・パパス(ギリシア)という3つの国を代表する3人の女優。彼女らの話によって、西洋文明の原点はギリシアにあったことが暗示される。アメリカ人船長がイエメンのバザールで買った人形は、のちにオチにつながる伏線になる。最後になってこれが象徴するものが、9.11であることに気づくのだ。するとこの船自体がヨーロッパを表わし、それを(誤った方向へ)導いているのがアメリカというように、いくらでも深読みがきく作品だ。★★★(前原利行)
 
■関連情報
 
 ポルトガルが生んだ巨匠マノエル・ド・オリヴェイラは現在95歳。おそらく現役最年長の映画監督だ。90年代に入り、やっと彼の作品が日本でも公開されるようになった。というより80歳を過ぎて、ますます精力的に活動し、毎年作品を発表している。
 
■映画の背景
 
映画の中に出てくる観光ポイントは
リスボン(ポルトガル)/発見のモニュメント、ベレンの塔
マルセイユ(フランス)/旧港、ギリシア人がここに港を開いたという碑
ナポリ(イタリア)/卵城、ベスビオ火山、ポンペイの遺跡
アテネ(ギリシア)/アクロポリスの丘(パルテノン神殿、エレクティオン神殿、円形劇場)
イスタンブール(トルコ)/アヤソフィア
ギザ(エジプト)/スフィンクスとピラミッド
アデン(イエメン)/バザール
 
■DVD情報
 
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