2008年/オランダ、ベルギー 監督:ダナ・ネクスタン 配給:ワコー、グアパ・グアポ だがそれは、思春期の悩みを抱えた若者の友情と幸せ探しの旅では終わらない。ふたりは「自分とは一体何者なのか」というアイデンティティを模索することになる。その根底にはヨーロッパの抱える移民や民族問題がある。ふたりの育った環境の違いはすなわち文化の違い。相容れない家族の様子は、ヨーロッパにおける民族の問題も浮き彫りする。けれども、ふたりを包む家族の姿は暖かい。そして、シリアスで難しい問題も重くならず、人は人種.文化・宗教の違いを超えて共生できることをユーモラスにさらりとした演出で見せてくれる。 そして「命の重み」にも、ふたりは真剣に向き合う。人生の選択をすべき時、「人は種から始まり、やがて命になる」とイスラムの教えは諭してくれる。天から与えられた命はかけがえのないもので、それは世界にたったひとつだけの大切な存在なのだと・・・。 カサブランカやマラケシュのエキゾチックな街並、青く澄み渡る空、その下に続く砂漠、雄大な自然の造形。映し出されるモロッコ各地の風景はロードムービーならではの味わい。特に、世界遺産「アイト・ベン・ハッドゥ」は物語の鍵にもなっていて印象深い姿を見せてくれる。 ふたりの友情を軸に家族や国、民族、異文化を大げさではなく、でもしっかりと捉えた作品で、レトロモダン&ポップでお洒落なタイトルバックにも注目。(★★★☆ 加賀美まき)
■ドゥーニャとデイジー/Dunya & Desie

(C)2007 DUNYA & DESIE DE FILM CV
性格は正反対だけど大親友、そんなふたりの女の子が自分探しの旅へ出る。
オランダ&モロッコ発のガールズ・ロードムービー。
脚本:ロバート・アルバベルディング・タイム
出演:マリアム・ハッソーニ、エヴァ・ヴァンダー・ウェイデーヴェン、
クリスティン・ヴァン・ストラーレン、テーオ・マーセン、ラチダ・イアッララ
上映時間:102分
公開:11月7日(土)新宿K’s cinemaにてロードショー 他全国順次公開
公式HP:www.dunya-desie.com
■ストーリー
オランダのアムステルダムに住むモロッコ人のドゥーニャ(マリアム・ハッソーニ)と、自由な恋愛に夢中なオランダ娘デイジー(エヴァ・ヴァンダー・ウェイデーヴェン)。性格は正反対だが、ふたりは大の親友で大人一歩手前の18歳。厳格なイスラム教徒の家庭で育ったドゥーニャは、従兄弟との結婚を望む両親と共に、故郷のモロッコへ帰国することになる。一方、デイジーは奔放な恋の末に妊娠。どうすべきか迷ったデイジーは、モロッコに住む実の父に会おうとドゥーニャの故郷へとやってくる。親が決めた相手との結婚に悩んでいたドゥーニャも家を飛び出し、二人は一緒にカサブランカ行きのバスに乗り込む。デイジーの父親を探すふたりのエキサイティングで、ハートウォ―ミングな旅が始まった……。
■レヴュー
オランダで2002年から2004年まで放送された人気TVドラマ「ドゥーニャ&デイジー」。その主人公ふたりの3年後を独立したストーリーで描き、映画化されたのが本作。ドゥーニャは大学生、デイジーは家を出て美容師見習いとして働き、それぞれに別々の道を歩き始めていた。しかし、ドゥーニャは親に決められた相手との結婚話、デイジーは予期せぬ妊娠という事態に直面し、ふたりは将来への不安を感じることになる。家族との関係はぎくしゃくし、親に反抗することなどなかったドゥーニャは初めて自分の意思で家を飛び出す。一方、中絶をためらったデイジーは、自分が父親に望まれていたのかどうかという思いから、ドゥーニャと一緒に幼い頃に別れた実の父を探し始める。様々な人とふれあい、時にはケンカしながら、対照的なふたりの珍道中が進んでいくことになる。