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■デビルズ・ダブル ある影武者の物語/The Devil’s Double

暴虐の限りをつくしたフセイン元大統領の長男ウダイ
その男の影武者として生きた男の物語

2011年/ベルギー

監督:リー・タマホリ(『007/ダイ・アナザー・デイ』『ザ・ワイルド』)
出演:ドミニク・クーパー(『マンマ・ミーア』『キャプテン・アメリカ』)、リュディヴィーヌ・サニエ(『スイミング・プール』『8人の女たち』)、ラード・ラウィ

配給:ギャガ
公開:1月13日よりTOHOシネマズ六本木ほかにて
上映時間:109分
公式HP:devilsdouble.gaga.ne.jp

 
■ストーリー
 
イラク軍中尉ラティフは、ある日大統領サダム・フセインの長男ウダイに呼び出され、自分の影武者になることを命じられる。命令を拒否し、拷問を受けるラティフだったが、家族の身の安全を考えて従うしかなかった。ウダイに似るように整形し、ウダイの話し方や動作をまねるラティフ。ウダイの生活は暴力とセックスに明け暮れ、狂気に満ちていた。ウダイはパーティの会場で、父フセインの側近を殺し、フセインにも「生まれたときに殺すべきだった」といわれるほどだった。やがて湾岸戦争が勃発し、フセイン大統領はウダイに戦地へ赴くように命じるが、実際に前線に行ったのはラティフだった。襲撃にあって負傷するラティフ。彼の忍耐の糸が少しずつ切れていく。
 
■レヴュー
 
『デビルズ・ダブル』というおどろおどろしいタイトルから、これはホラー映画かと思っていたら、ダブルは“替え玉”、“影武者”のことで、悪魔のような男の影武者となった男の話だった。本作は実話がベースで、サダム・フセインの長男のウダイの影武者だった男の体験談。フセインによる圧制と暴虐は有名だが、そのフセインでさえサジを投げるほど、悪徳の限りを尽くしたのが長男のウダイだ。本作で描かれているように、オリンピックで悪い成績を出した選手が拷問にかけられたり殺されたり、父親の側近をパーティの会場で刺し殺したり(エジプトのムバラク元大統領もその場にいた)、またそうとう女癖も悪かったらしい。そのウダイと影武者ラティフの一人二役を熱演しているのは、ドミニク・クーパー。

で、調理の仕方によってはいくらでも面白くなりそうな素材なのだが、本作は残念ながらそれがうまく活かしきれていない。どうもウダイの狂気のほうがインパクトが強くて、主人公の影が薄いのだ。主人公がどんな生活を送ってきたかとか、ウダイの家庭と対比させるとか、そんな演出が必要なのに惜しい。監督が『007/ダイ・アナザー・デイ』の人なので、エンターテイメントも入れないと思ったのだろうが、最後のほうのアクションシーンだけ、フィクションぽくなってしまっているのも蛇足。実在の独裁者に近い一般人ということだと『ラストキング・オブ・スコットランド』というアミン大統領の映画があるが、あの映画のようなキレがないのが残念。(★★☆前原利行)

 
■映画の背景
 
実際のウダイは、ただ暴虐だっただけでなく、父親が定めた法律の網をかいくぐり、密輸で富を築くという商才もあったらしい。また、父の側近殺害事件もあり、フセインに疎まれて後継者の地位から脱落(弟のクサイに替わられる)。イラク戦争時にはクーデターも計画していたというが、最後は米軍に殺される末路をたどった。

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