監督:コン・ジョンシク 配給:エスピーオー
■ふたつの恋と砂時計

Daddy-Long-Legs
2005年/韓国
原作:ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』
脚本:キム・ヒョンジュン
出演:ハ・ジウォン、ヨン・ジョンフン、ヒョンビン、パク・ウネ、シニ、チョン・ジュンハ
上映時間:98分
公開:6月24日よりシネマート六本木、シネ・リーブル池袋にてロードショー
公式サイト:http://www.cinemart.co.jp/sunadokei/
■ストーリー
ラジオ局で放送作家として働くヨンミは、彼女を支援し支え続けてくれた謎の紳士“あしながおじさん”といつか出会うことを夢見る元気いっぱいの女の子。読まれる当てのない彼宛の手紙を日々綴っている。一方、ヨンミが偶然見つけたEメール上の恋物語の主人公ヨンウは、長年の片想いの相手に声すらかけることができない内気な少女。そんなヨンウのため、ヨンミはヨンウの物語をラジオ放送することで、その想いを相手に伝えようとするが…。
■レヴュー
例えばウディ・アレンの映画は大半が恋愛映画だが、『アニー・ホール』を繰り返し観てしまうのは劇中人物が観客に話しかけたり時間が混在して現在の主人公が昔の自分と同じ空間で会話するといった、映画文法を解体するかのような構造の面白さからである。同じくアレンの『カイロの紫のバラ』が好きなのも、ヒロインの恋愛対象が映画の中から現実に抜け出してくるというバカバカしさがあってこそだ。そういったトリッキーな要素をとっかかりに、主人公の恋愛模様も楽しむわけだが、さて今回の『ふたつの恋と砂時計』はどうかというと、これもまた一見普通の恋愛映画に見えながら、私好みのトリッキーな展開が施されている作品だった。
タイトルや上記「ストーリー」に記されているとおり、本作は「ふたつの恋」の物語だ。放送作家のヒロインと、彼女が見つけたメールに書かれている見知らぬ人物のドラマが並行して描かれていく。ところがクライマックスでメールの物語の真相が明らかになるのだが、これがほとんど映画文法的に反則ギリギリといっていい、なおかつ一歩間違えるとギャグになってしまいそうな、シンプルながらそれまでの展開を180度ひっくり返すものなのである。それがどんなものなのかは一切書けないが、私が好むトリッキーな要素はまさにここに凝縮されている。細部に詰めの甘さも多々ある映画ではあるが、あの真相だけで十分OKです。
なお劇中にはタイトルにある「ふたつの恋」の他に実は第三のものがあるのだが、これが映画のトーンを明るくする役目を果たしていて微笑ましい。(★★★田中元)