| ■珈琲時光 |
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2003年/日本
監督・脚本:候孝賢
出演:一青窈、浅野忠信、萩原聖人、余貫美子、小林稔侍
配給:松竹
上映時間:108分
公開:9月11日よりテアトルタイムズスクエアほか |
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| ■ストーリー |
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フリーライターの陽子は、妊娠している。相手は昔、台湾で日本語教師をしていたときに知り合った台湾人男性らしい。
両親はそんな娘を心配する。彼女がシングルマザーの道を選ぼうとしているからだ。一方で、陽子は古書店主の肇とは親しくしているが、微妙な関係でいる。
陽子は様々な想いをめぐらすが、自分の想いを伝えられず、時は淡々と流れていく。 |
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| ■レヴュー |
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山手線、埼京線、総武線が立体交差する風景。無秩序に散らばった建物。幾重にも重なる配管や動線。この映画に映し出される東京の風景は、どこか巨大な 「装置」を思わせる。
小津安二郎の生誕100年を記念して製作されたこの作品は、現在の東京にかろうじて残っている『東京物語』を探す旅でもある。巨大な「装置」の中に点 在する昔ながらの天ぷら屋、古書店、そして喫茶店。小津が生きていた時代の残り香を感じさせる場所。希薄になっているが、それでもなお、細々と存在する 人情や家族愛。台湾人・候孝賢監督はそれを感じ、また信じている。
江文也という音楽家は、日本の台湾統治時代、まちがいなく日本人だった。台湾の淡水出身で日本育ちの優れた才能をもった江は、日本のクラッシック界を リードする中心的な作曲家だった。そのため日本のアジア支配の格好の宣伝者にもなった。北京師範大学の教授として中国に渡った江だったが、日本の敗戦 後、東京に信州人の妻子を残したまま、北京での滞在を余儀なくされる。今度は中国共産党が彼を国民党へのプロパガンダとして利用したためだ。江は結局、 台湾にも日本へも帰ることなく1983年北京で没する……。そんな台湾人の悲劇が今の台湾が置かれた政治状況を象徴している。
江の残した妻子、台湾人の子を宿した劇中の主人公・陽子、日本人と台湾人の両親をもつシンガーソングライター・一青窈。候監督は虚構と現実を重ねあわ せながら、東京に逆流する、台湾人の血流をも見出そうとしている。
東京という「装置」が生み出すもの。それはなんだろう? 際限のない欲望だろうか、永遠の孤独だろう?
浅野演じる肇が山手線の駅の音を録音している様子は、まるで東京という「有機体」の心音を聞き出そうとしているようだ。そして彼が描いたコンピューターグラフィックの絵は、東京という「装置」を「母胎」のようなものとして描いている。
候監督は東京を悲観しているのではなく、新しく生まれてくる「何か」に期待しているのだろう。
(★★★☆カネコマサアキ) |
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| ■DVD情報 |
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