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■ビルマVJ 消された革命/Burmavj

ビルマの反政府デモの映像が世界に伝った陰には、勇気あるVJ(ビデオジャーナリスト)の存在があった

2008年/デンマーク

監督・脚本:アンダース・オステルガルド
原案・脚本・助監督:ヤン・クログスガード

配給:東風
公開:5月15日よりシアター・イメージフォーラム
上映時間:135分
公式HP:www.burmavj.jp

 
■ストーリー
 
2007年9月、ビルマ(ミャンマー)で大規模な反政府デモが起きた。少数の軍人が国民を支配する独裁国家でのデモは、異例のことだった。その模様を国外に拠点を持つ<ビルマ民主の声>のVJ(ビデオジャーナリスト)たちがカメラで追う。僧侶の参加により、デモに参加する民衆は増え続けるが、軍による容赦ない弾圧がそれを待ち受けていた。
 
■レヴュー
 
VJとはビデオジャーナリストのこと。これは2007年9月にビルマで起きた、民主化を要求する大規模な反政府デモの様子を映像に収めたVJたちを通し、ビルマの現状を広く知ってもらおうというドキュメンタリーだ。

2007年9月、驚くべき映像が世界を駆け巡った。日本人ジャーナリスト、長井健司さんがビルマ軍兵士に至近距離で狙い撃ちされる映像だ。長井さんの死を「事故」と主張していた軍事政権のウソが、この映像によって暴かれた。その時、「よくこんな映像があったものだ」と日本のマスコミは驚いたが、それは自らの命を賭して取材する、VJたちがビルマにいることを知らなかったからだ。

ご存知かと思うが、この国はここ何十年か軍によって支配されており、言論や報道の自由は一切ない。選挙によって選ばれた政党は、軍によって活動を禁止され、アウンサンスーチー氏は自宅軟禁されている。秘密警察が市民の間を行き来し、不要な発言をした者を投獄している。

反政府デモのきっかけは、ガソリン代の値上げだった。ガソリン代が上がれば、輸送コストも倍になり、すべての物の値段が上がる。それにこの国では軍政に対する不満がくすぶっていた。最後の大きなデモが「19年間前」とナレーションが入るが、若い世代は生まれたときから自由な空気というものを知らない。そんな若者たちが、初めて本当の「空気」を吸った高揚感。その大規模なデモの雰囲気を、匿名のビデオジャーナリストたちが捕らえた映像を通して本作は私たちに伝えてくれる。

日本人ジャーナリスト、長井さんが射殺される瞬間も、彼らのカメラによって捕らえられている。あの映像は日本でも何度もニュースで流れたから、覚えている方も多いだろう。逃げようとする長井さんを、至近距離で狙い撃ちする兵士。ビデオカメラを持って倒れる長井さん。「事故」という軍事政権の主張は、この映像によって崩れた。国家による殺人だが、日本政府は今回のタイの事件でも及び腰だ。

それは何度見ても心が凍るような映像だ。僕が家庭を持っているせいだろう。長井さんの死を「ヒーローの死」ではなく、家族や友人もいる「家庭人」として感じてしまう。家庭人の命を簡単に奪ってまで、守るほどの価値があるのだろうか。軍事政権。

最後に。デモ隊を前に、自宅軟禁されている家の扉が開いてアウンサンスーチー氏が姿を現す映像は感動的だ。まるで後光がさしているように見えた。本当に。(★★★☆前原利行)

 
■映画の背景
 
この国を旅していて、独裁国家という感じがしないのは、独裁国家にありがちな個人崇拝がないためだろう。たいていの独裁国家では、国家元首の個人崇拝を高め、国中に個人の肖像をばら撒くが、ここビルマではそんなことはない。軍人のトップが誰であるかはみな知っているが、彼は決して表には出てこない。裏で人々を操っているのだ。それに特別変わった思想があるわけではない。何かを実現させるために独裁国家を作ったわけではない点が、共産主義国家やナチスと異なる。

それに旅もほぼ自由にできる。ふつうの観光旅行をするだけなら、とくに旅に制約はない。だから旅行者の間では「自由に旅行できる北朝鮮」とも言われている。

とは言え、政治の話はご法度だ。不自由を感じるのは、インターネットが厳しく制限されていること。

まず、hotmailなどのフリーメールは使用できない。見られないサイトも多い。テレビや新聞のニュースはすべて政府系なので、本当のことを伝えているのは外国のメディアになる。しかしそんなものは政府としては知られたくない。だから中国のように厳しく制限をかけているのだ。

 
■関連情報
 
本作は、第82回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門ノミネート(受賞したのは『ザ・コーヴ』)

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