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■ビルマ、パゴダの影で



ビルマに潜入したカメラが捕らえた人々の素顔とは?
観光では知ることのない、虐げられた少数民族の証言が痛ましい

2004年/スイス

監督:アイリーヌ・マーティー

配給:アップリンク
公開:3月15日より渋谷アップリンクXにて
上映時間:74分
公式HP: www.uplink.co.jp/burma/

 
■ストーリー
 
ビルマに魅了されたスイスのドキュメンタリー監督アイリーヌ・マーティーは、軍事政権による深刻な人権侵害の事実を知る。調査を続ける彼女は取材を決意し、観光用のPR番組と偽って、ビルマでの潜入撮影を決行。政府のガイドの前では観光用にテープを回すが、いなくなると抜け出して別の撮影をする。

そして次にタイ側からビルマ国境地帯を訪れ、難民キャンプに住む少数民族たちの貴重な証言を得る。両親を殺された子どもたちが、訴える悲痛な叫び。パゴダ(仏塔)が立ち並ぶ穏やかな仏教国の、見えない部分で行われている圧政。迫害され続ける人々が訴える真実とは?

 
■レヴュー
 
2007年9月に、取材中のジャーナリスト長井さんが銃弾に倒れたニュースは、その衝撃的な映像と共に世界中に配信された。それは観光化をアピールしながらも、弾圧を続ける軍事政権が少しも変わっていないことを示すものだった(それにしても日本政府のなんと弱腰なことよ)。

何度か仕事でミャンマー(ビルマ)を訪れた身としては、人ごとではない。ヤンゴンの、長井さんが殺されたあの通りはよく歩いていたなじみの場所だったから。軟弱な旅行ガイドの取材をしている僕でも、もしその場にいたらどうしていただろうか。あそこまで前面に出なくても、撮影ぐらいしていたかもしれない。政治的にはノンポリでもね。ちなみに僕が「ビルマ」と書かないで「ミャンマー」と書いていても、それはとくに意味はないので気にしないで下さい。どっちも正しいし、正しくもないかもしれない。政治的な意図はないので。

北朝鮮のようにニュースバリューのある「スター独裁者」がいないせいか、ミャンマーの独裁国家ぶりは日本では伝わりにくいかもしれない。ミャンマーのトップなんて日本じゃ誰も知らないでしょ。僕も顔すら知らない。スター性のあるこの国の人といったらアウンサンスーチーさんだが、このドキュメンタリーが光を当てているのは、アウンサンスーチーさんのようには報道されない、国境地帯に多く住む少数民族への苛酷な弾圧ぶりだ。

目の前で両親を殺された子どもたちは、大きくなったら銃を手にとって国軍兵士たちに復讐したいと言う。ゲリラを育てているのは、軍事政権自体が作り出している「憎しみ」の行為なのだ。そしてその軍事政権を間接的にだが支援している国の中に日本がいるということも、忘れてはならない。私たちの税金で子どもたちの親が撃ち殺されていると思えば、他人事ではないのだ。

 ちょっと西欧人らしい「思い込み」の部分もあるが、このドキュメンタリーはそんなことを考えさせてくれるものだ。政府が少数民族の人々を迫害していることを知っているが、具体的にはどんなものなのかは、みな知らないのだから。あと、できれば一般のビルマ人が、少数民族の人々に偏見を持っているのかどうかも知りたかった。まあ、それは次回この国へ行った時に、僕が直接聞いてみよう。(★★★前原利行)

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